●前回のおさらい●
ライブ自体は大盛り上がりを見せてはいるのだが。
それに反して、崇秀の女性らしい行動が、妙に気に成る倉津君。
このままライブを続けて大丈夫なのか?
……この後も俺等は、特にこれと言ったマイクパフォーマンスを入れる事もなく。
そして、演奏を中断する訳でもなく。
徹底的に俺達の演奏を楽しんで貰う為に。
6曲目『Bother man』
7曲目『One night fool』
8曲目『Black swimming』
9曲目『Love×warking』
10曲目『Blinded by me』
……っと、ただ闇雲に演奏をし、快調に飛ばして行く。
もぉこの時点で、会場のボルテージは最高潮を越えて尚、嫌をなしに上がっていく状態。
人の出す熱気や汗、それに止む事の無い大声援が息苦しい程に感じる。
まさに会場内は限界炸裂な状態だ。
観客全員が、なにかに憑り付かれた様に、ステージにだけ視線を向け。
そして食い入る様に見詰め。
ステージに向って、狂った様な大声援を送り続ける。
だがな、ヤッパリ俺の不安は拭い切れない。
崇秀の奴、曲の切れ目になる曲は、必ずと言って良い程、女性的な曲を選曲しているんだよな。
これって作為的に、女性の優しさや、包み込む様なイメージ(母性)を、観客に与え続けてる様な気がして成らない。
そりゃあまぁな。
この世界の崇秀ってのは、ヒナって存在で存在してる訳だから、別に、これ自身、特別なにか問題が有る訳じゃないんだかな。
此処まで徹底する必要が有るのか?
アイツの身に、なにか、おかしな事が起こっているんじゃねぇのか?
コレは、俺の気にしすぎなのか?
こんな状態のアイツに、このライブを続けさせて大丈夫なものなんだろうか?
『魂の融合が起こり得れる』と明言していただけに、崇秀の安否が気遣われる。
そうこうしてる間に『Blinded by me』が静かに終わっていく。
俺……なんかトンデモナイ事を、崇秀にさせてるんじゃないのか?
***
そんな俺の不安を他所に、崇秀は、一旦ステージの脇で、頭からミネラルウォーターを被り。
タオルで髪を拭きながら、完全に息切れ状態に成っている。
流石に崇秀と言えども、体力の少ないヒナの体では疲労の色は隠せない様だ。
けど奴は、そんな疲労感を表に現す事無く。
ステージ上に戻って来たと思ったら、即座に、なにもなかった様にマイクポジションに移動し。
そして『ニコッ』っと笑みを浮かべながら、此処に来て、初めて観客とのコミュニケーションをとり始める。
「皆様、お疲れ様でした。今夜のライブは如何でしたか?楽しんで頂けてますか?」
「「「「「もぉ最高!!速攻ファンに成っちまったよ!!マジ最高だよアンタ等」」」」」
「ありがとうございます。私達も、大変楽しくも、貴重な時間を過ごさせて頂きました。皆様、本当にありがとうございました!!」
「「「「「良いぞ、良いぞ!!」」」」」
「「「「「ピュ~!!ピュ~!!」」」」」
観客の声援に応えるが如く、手を振りながら、笑顔を振り撒いてはいるが、アイツ、もぉとっくに限界を越えてる筈なのに……
「ありがとうございます。あの、それでなんですが。そろそろ持ち曲も尽きてしまいそうなので、次が最後の曲となりますが、宜しいでしょうか?」
「「「「「えぇ~~~~!!そりゃあないよぉ!!もっと、聞かせてよ~~~!!」」」」」
「「「「「ブゥ~~!!ブゥ~~!!出し惜しみ無しに行ってくれよぉ~~~!!」」」」」
「「「「「まだ、持ち歌、全然残ってるんじゃねぇの!!頼むよぉ~~~~!!」」」」」
無茶言いやがるなぁ。
コレだけ完成度の高いオリジナルソングを大量に唄ってるだけでも異常な事なのに、まだその上を要求しやがるか。
コイツ等、ヒナと言う名の麻薬に、完全に嵌っちまいやがったな。
もぉ既に、禁断症状が出てやがる状態じゃねぇか。
「そうですね。本当の事を言うと、曲自体は、まだ沢山有るのですが。実は、それ等を、今弾けない事情がありまして」
「事情ってなんだよ?なんでダメなんだよ?」
「はい。実は明日、学校なんで、このまま演奏を続けたら、寝坊して遅刻しちゃいそうなんですよ」
「「「「「はぁ?……今、なんって言った?」」」」」
「あぁ、はい。ですから、明日も学校があるので、そろそろ帰って寝ないと不味いんですよ。遅刻は良くないんですよ」
「「「「「はっ?はぁ~~~~?」」」」」
アッ……アホかアイツは?
また突然、意味の解らん事を言い出しやがったよ。
なにを考えとんじゃ!!
この場では、ルーキーの立ち位置の奴が、あんな事を堂々と言うか?
脳味噌膿んでるんじゃねぇか?
「兎に角、学生の本分は勉強です。良い演奏をさせて頂く為にも、色々な知識を得ないと、良い曲が描けません。勉強は大切なんですよ」
「「「「「はっ、はぁ~~~、そっそうッスか」」」」」
「そうなんです。ですから、そんな心境を唄った曲を、最後にソロで弾いていきたいと思いますので……『渇望』聞いて下さい」
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観客全員の心境を無視して、強引に行ったぁ!!
どれだけ疲れてても、恐ろしくマイペースな奴だな。
こう言う強引な所を見ると。
ヒナと言うより、崇秀っぽいんだよなぁ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
倉津君の心配を他所に。
崇秀は、ヒナちゃんの魅力を最大限まで生かして、この場を掌握しましたね♪
流石はラスボスの魔王、人心掌握術に秀でておりますなぁ(笑)
まぁ言うて、ヒナちゃんには、此処までの演奏技術がないので。
これは言わば、今現在に於ける、彼女にとっての完成形みたいなものを表してるだけであり。
此処に行き着く為には、相当練習を重ねないとダメなんですがね。
現実は、そんなに甘いものではないのです。
さてさて、そんな中。
また崇秀が訳の解らない事を言って、ラストソングのコールをしたみたいなんですが。
この『渇望』っと言う曲は、一体、どんな曲なんでしょうか?
なんか嫌な予感がするのですが……
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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