●前回のおさらい●
誤解から生じた親父さんの怒りを鎮め、沙那ちゃんを宥める事にも成功した倉津君なのだが。
もう少し場の雰囲気を和らげた方が良いと思い……
そんな風に和解した微笑ましい2人を見て居たら。
親父さんは少し照れた様な顔をして、頭を掻きながらコチラを見てる。
この様子からして、まだちょっとグツが悪い感じか。
「あっ、あの、倉津さん。……いい年した親父が、大変、お見苦しいものをお見せしてしまいました。どうも、ご迷惑をお掛けしました」
「あぁ、いやいや、親父さんの、沙那ちゃんへの深い愛情が伝わるのを見せて貰って、親って、本当に良いもんなんだなって、逆に思い知らされましたよ。だから謝る必要なんてないッスよ」
「ハァ~~~っ、アナタって人は……」
いやまぁ、誤解があったとは言えッスね。
子供を本気で怒れるのは、親にしか出来無い仕事だってのも然りだと思うんッスよね。
他人じゃ、今さっきの俺みたいなフォローをするのが精一杯。
所詮、俺は、目一杯、綺麗事を言ってるだけに過ぎないッスから。
でも、そんな他人の言った綺麗事に耳を貸してくれるだなんて、親父さんは、ホント大したもんッスよ。
だから俺から、ちょっとしたプレゼントっす。
「あぁそうだ、そうだ、沙那ちゃん」
「うん?」
「ちょっとコッチ来てみ」
「うん」
俺の声に反応して、テポテポとコチラにやって来たな。
それにしてもなんだな。
さっきまで、あんなにワンワン号泣してたのに、もぉケロッとしてるよ。
子供って立ち直りが早いよな。
「よし、じゃあ、手ぇ出してみ」
「えっ?うん」
「はい、どうぞ」
「おぉ~~~っ、500円」
「くっ、倉津さん?」
あの、言いたい事は解りますけど。
そこは、ちゃんと今から説明しますので、少しの間、怒らずに、ちょっと話を聞いて欲しいッス。
これは無償の施しとかじゃないんで。
「でも、なんで?なんで沙那は500円貰えたの?」
「それはあれだな。昨日、沙那ちゃん、一杯お手伝いしてくれただろ。だから、これはお駄賃な」
「おぉ、お駄賃。……でも、お駄賃ってなに?」
がっ……そこからか。
「あぁっとな。お駄賃って言うのは、沙那ちゃんがお手伝いしてくれたから、おにぃちゃんの感謝の気持ちだな」
「おぉ」
「だから、それは沙那ちゃんが好きに使って良いんだぞ」
「おぉ」
「なにか買うか?」
「沙那、これでジュースが買いたい」
「そうか」
「あっ、あのね。でもね。お父さんと、おにぃちゃんの分も買ってあげたい。……買っても良いかな?」
オッシャ、上手く行った!!
これで、さっきの沙那ちゃんの気持ちが、より親父さんに伝わった筈だ。
「勿論、良いぞ。それは沙那ちゃんのお金だからな。本当に好きに使って良いんだぞ」
「だったら、そうする♪1人で飲むより、みんなで飲んだ方が美味しいもん♪」
「沙那……」
「あぁ、でも、みんなで買いに行きたい。お父さんと、おにぃちゃんと一緒に買いに行きたい。だから、一緒に行こ。ねっ、良いでしょ」
そう言った沙那ちゃんは。
満面の笑みを浮かべて、俺の手を引いて、親父さんの元まで行き。
そんで、もう片方の空いた手で、親父さんの手を掴んで、再度、微笑を浮かべてる。
やるな、沙那ちゃん。
それは喧嘩した男を仲裁する女子の高等テクニックだぞ。
無意識の内に、それをするとは……末恐ろしい子だ。
なんてな。
「敵わないですね」
「えっ?」
「沙那の事。倉津さんは、よく解ってくれてます。私では、こうは上手く……」
あぁ~~~るぇ~~~~。
こんな良い場面なのに、親父さんは、ソッチのネガティブ・キャンペーンの方に行っちゃいましたか?
あんでまぁ。
けど、これって、そうじゃないんッスけどね。
「あぁ、それは違うッスよ」
「っといいますと?」
「これは、俺は他人だから、こう出来るだけの話であってッスね。身内なら、親父さん同様に沙那ちゃんを叱ってただけかも知れませんよ。そう言うのって有りませんか?」
「あぁ……確かに」
「えっ?他人……沙那と、おにぃちゃんは他人なの?」
がぁ……今度はソッチかい!!
見事なまでにアッチ付けば、コッチ付かずな状態だな。
折角上手く行くと思ったので、次から次へとお問題が多発しやがるんだよ!!
「それは違うぞ、沙那。倉津さんはな。沙那の事を他人だなんて思ってないぞ」
「ホント?他人じゃない?」
「そうだな。決して他人なんかじゃないぞ。他人だと思ってたら、此処まで一沙那の為に生懸命には成ってくれないだろ。だから倉津さんは、他人なんかじゃないんだよ」
「おぉ」
なんかフォローして頂いて、すんませんね。
しかしまぁ、なんで毎度毎度こうなるんだよ?
俺って、いつも、こうやって最後の最後は締まらねぇんだよなぁ。
……ったくもぉ、なんなんだよ、これは?
「じゃあ、じゃあ、沙那と一緒にジュースを買いに行ってくれるかな?」
「そこは倉津さんに、直接聞いてみなさい」
「うん。あの、おにぃちゃん、一緒にジュース買いに行こ」
「おぅ。一緒に行こうな」
「うん」
「良かったな、沙那」
「うん♪」
しかも、なんか美味しい所を、親父さんに持って行かれた様な気分に成るのはなんなんだ?
ひょっとして俺って、心が狭いのかなぁ?
もしそれが事実なら、ショボボボボ過ぎんだろ……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
結果的には倉津君の策略は上手く行ったのですが。
最後の最後出オチ要員に成ってしまうのは、実に倉津君らしいですね♪
まぁでも、最低限思惑通りには行ったのですから、文句は言わなくてもよろしい(笑)
さてさて、そんな感じで完全に雰囲気も良くなりましたので。
これで漸く、親父さんにはリフォームした家を見て貰う事が出来るようになりました。
そうなると、後は家を見た時の親父さんの反応が問題に成って来るのですが。
果たして、どういう反応を示すのでしょうね?
次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
(´Д`)ハァ…しかしまぁ。
解決しなきゃいけない問題が多過ぎて、中々コズミックなホラーな方へ戻れませんね(笑)
読み終わったら、ポイントを付けましょう!