最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1551 完全なる和解への道

公開日時: 2025年5月4日(日) 00:21
文字数:2,035

●前回のおさらい●


 誤解から生じた親父さんの怒りを鎮め、沙那ちゃんを宥める事にも成功した倉津君なのだが。

もう少し場の雰囲気を和らげた方が良いと思い……


 そんな風に和解した微笑ましい2人を見て居たら。

親父さんは少し照れた様な顔をして、頭を掻きながらコチラを見てる。


この様子からして、まだちょっとグツが悪い感じか。



「あっ、あの、倉津さん。……いい年した親父が、大変、お見苦しいものをお見せしてしまいました。どうも、ご迷惑をお掛けしました」

「あぁ、いやいや、親父さんの、沙那ちゃんへの深い愛情が伝わるのを見せて貰って、親って、本当に良いもんなんだなって、逆に思い知らされましたよ。だから謝る必要なんてないッスよ」

「ハァ~~~っ、アナタって人は……」


いやまぁ、誤解があったとは言えッスね。

子供を本気で怒れるのは、親にしか出来無い仕事だってのも然りだと思うんッスよね。


他人じゃ、今さっきの俺みたいなフォローをするのが精一杯。

所詮、俺は、目一杯、綺麗事を言ってるだけに過ぎないッスから。


でも、そんな他人の言った綺麗事に耳を貸してくれるだなんて、親父さんは、ホント大したもんッスよ。


だから俺から、ちょっとしたプレゼントっす。



「あぁそうだ、そうだ、沙那ちゃん」

「うん?」

「ちょっとコッチ来てみ」

「うん」


俺の声に反応して、テポテポとコチラにやって来たな。


それにしてもなんだな。

さっきまで、あんなにワンワン号泣してたのに、もぉケロッとしてるよ。


子供って立ち直りが早いよな。



「よし、じゃあ、手ぇ出してみ」

「えっ?うん」

「はい、どうぞ」

「おぉ~~~っ、500円」

「くっ、倉津さん?」


あの、言いたい事は解りますけど。

そこは、ちゃんと今から説明しますので、少しの間、怒らずに、ちょっと話を聞いて欲しいッス。


これは無償の施しとかじゃないんで。



「でも、なんで?なんで沙那は500円貰えたの?」

「それはあれだな。昨日、沙那ちゃん、一杯お手伝いしてくれただろ。だから、これはお駄賃な」

「おぉ、お駄賃。……でも、お駄賃ってなに?」


がっ……そこからか。



「あぁっとな。お駄賃って言うのは、沙那ちゃんがお手伝いしてくれたから、おにぃちゃんの感謝の気持ちだな」

「おぉ」

「だから、それは沙那ちゃんが好きに使って良いんだぞ」

「おぉ」

「なにか買うか?」

「沙那、これでジュースが買いたい」

「そうか」

「あっ、あのね。でもね。お父さんと、おにぃちゃんの分も買ってあげたい。……買っても良いかな?」


オッシャ、上手く行った!!


これで、さっきの沙那ちゃんの気持ちが、より親父さんに伝わった筈だ。



「勿論、良いぞ。それは沙那ちゃんのお金だからな。本当に好きに使って良いんだぞ」

「だったら、そうする♪1人で飲むより、みんなで飲んだ方が美味しいもん♪」

「沙那……」

「あぁ、でも、みんなで買いに行きたい。お父さんと、おにぃちゃんと一緒に買いに行きたい。だから、一緒に行こ。ねっ、良いでしょ」


そう言った沙那ちゃんは。

満面の笑みを浮かべて、俺の手を引いて、親父さんの元まで行き。

そんで、もう片方の空いた手で、親父さんの手を掴んで、再度、微笑を浮かべてる。


やるな、沙那ちゃん。

それは喧嘩した男を仲裁する女子の高等テクニックだぞ。


無意識の内に、それをするとは……末恐ろしい子だ。


なんてな。



「敵わないですね」

「えっ?」

「沙那の事。倉津さんは、よく解ってくれてます。私では、こうは上手く……」


あぁ~~~るぇ~~~~。

こんな良い場面なのに、親父さんは、ソッチのネガティブ・キャンペーンの方に行っちゃいましたか?


あんでまぁ。


けど、これって、そうじゃないんッスけどね。



「あぁ、それは違うッスよ」

「っといいますと?」

「これは、俺は他人だから、こう出来るだけの話であってッスね。身内なら、親父さん同様に沙那ちゃんを叱ってただけかも知れませんよ。そう言うのって有りませんか?」

「あぁ……確かに」

「えっ?他人……沙那と、おにぃちゃんは他人なの?」


がぁ……今度はソッチかい!!

見事なまでにアッチ付けば、コッチ付かずな状態だな。


折角上手く行くと思ったので、次から次へとお問題が多発しやがるんだよ!!



「それは違うぞ、沙那。倉津さんはな。沙那の事を他人だなんて思ってないぞ」

「ホント?他人じゃない?」

「そうだな。決して他人なんかじゃないぞ。他人だと思ってたら、此処まで一沙那の為に生懸命には成ってくれないだろ。だから倉津さんは、他人なんかじゃないんだよ」

「おぉ」


なんかフォローして頂いて、すんませんね。


しかしまぁ、なんで毎度毎度こうなるんだよ?

俺って、いつも、こうやって最後の最後は締まらねぇんだよなぁ。


……ったくもぉ、なんなんだよ、これは?



「じゃあ、じゃあ、沙那と一緒にジュースを買いに行ってくれるかな?」

「そこは倉津さんに、直接聞いてみなさい」

「うん。あの、おにぃちゃん、一緒にジュース買いに行こ」

「おぅ。一緒に行こうな」

「うん」

「良かったな、沙那」

「うん♪」


しかも、なんか美味しい所を、親父さんに持って行かれた様な気分に成るのはなんなんだ?


ひょっとして俺って、心が狭いのかなぁ?


もしそれが事実なら、ショボボボボ過ぎんだろ……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


結果的には倉津君の策略は上手く行ったのですが。

最後の最後出オチ要員に成ってしまうのは、実に倉津君らしいですね♪


まぁでも、最低限思惑通りには行ったのですから、文句は言わなくてもよろしい(笑)


さてさて、そんな感じで完全に雰囲気も良くなりましたので。

これで漸く、親父さんにはリフォームした家を見て貰う事が出来るようになりました。


そうなると、後は家を見た時の親父さんの反応が問題に成って来るのですが。

果たして、どういう反応を示すのでしょうね?


次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾



(´Д`)ハァ…しかしまぁ。

解決しなきゃいけない問題が多過ぎて、中々コズミックなホラーな方へ戻れませんね(笑)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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