●前回のおさらい●
お互い挑発を繰り返している状態にあったが。
倉津君とヒナちゃんが、度を越えた挑発を繰り出した為に……
「ちょっと、ちょっと君達。さっきから聞いてたら、豪く舐めた口を利いてくれるじゃない。一体、誰のお陰で、今のGUILDが保ってられると思ってる訳?調子に乗らないの」
ほらな。
奈緒さんなら、絶対にこうやって反論してくると思ったんだよな。
特にコチラ側の奈緒さんは、なんか世間に対して不満を持ってる様な雰囲気だから、こうやって反論するのは間違いないっとは思ってたんだがなぁ。
なんと言う予想通りの展開。
完璧なまでに嫌な予感が当たってしまった。
でも、事がどうあれ、嫌なもんッスな。
この人が、違う世界線の奈緒さんだと解ってても、ヤッパ、奈緒さんには違いない訳だから敵対するのは嫌な気分ッスな。
「真実なんじゃないんですか?現に、このバンドは、嶋田さん1人で持ってる様なコミックバンド。笑いが取りたいんなら、此処でカルテット漫才でもしたら如何ですか?」
「そこまで言うんだ。……じゃあ、君達の要望通り、嶋田さん抜きでやってあげるわよ。君達如き、嶋田さん抜きでも、十分。実力の違いってもんを見せてあげるよ」
あらま。
「御自由に。……但し、負けた後で、下手な言い訳をするのだけは辞めて下さいね。そんなの、恥ずかしくて、とても聞いてられませんので」
「いい加減、舐めんじゃないわよ、ガキ。吠え面掻かしてやる」
「そうですか。じゃあ、お先にどうぞ」
「言われるまでも無い。……嶋田さん。そう言う事なんで、少しの間、ギターをお借りして良いですか?」
そう言って奈緒さんは、嶋田さんにギターを借りに行った。
まぁ、この辺は順当なラインですな。
「良いよ。好きな様にやりなよ」
すると嶋田さんは、何事も無かった様な表情を浮かべたまま、気持ち良く、奈緒さんにギターを手渡した。
ふむ。
きっとこれは、この勝負がノーリスクだと判断したからこそ、下手に手を出さずに黙って見守る気なんだな。
若しくは、なんか思惑でもあるんかもしれないな。
嶋田さんって、あれで居て、結構、腹が黒い所もなるもんな(笑)
「我儘言って、すみません」
「別に構わないよ。でも、やるならやるで、思う存分やって、悔いを残さない様にね」
「あぁ、はい」
「じゃあ、話も決まった事だし。……真琴、早速、相手方のお手並み拝見と行こうか」
「だな。そうさせて貰おうか」
そう言って、俺とヒナは、一旦ステージ空飛び降りた。
なんか豪くライブハウス内が、険悪なムードに成っちまったけど。
まぁ、向こう側が一方的に売ってきた喧嘩なんだから、これはしょうがねぇわな。
この状況を招いたのは、ある意味、そっちの責任だしな。
けど、それとは別に。
奈緒さん……ちょっとだけ頑張れ。
密かにではありますが、心の中では俺、滅茶苦茶応援してますよ。
( ゚Д゚)੭ु⁾⁾
***
無駄な話し合いの時間があった為に、ライブハウスの温度はガタ落ちしている。
最後に勝負の話が決まった瞬間には、少しは熱気が盛り返したものの。
ヒナと俺が、またその状況下で冷めた事を言っちまったから、元の木阿弥。
結果的に今の現状は、ライブをやるには最悪な状態だ。
そんな中。
素直 ……ヴォーカル。
奈緒さん……ギター。
眞子 ……ベース。
山中 ……ドラム。
……っと言うバンド構成で、演奏が開始されたんだが。
なにやら、そこで演奏された曲が、妙にJ-POPっポイ曲なもんだから。
なんか、このバンドのイメージにはまったく合わず。
俺の中では、気持ちが悪いだけの印象だけが残ってしまう演奏に成ってしまっていた。
けど、これは俺の個人的な感想でしかないし。
此処は良くも悪くも、このバンドにとってはホームグラウンド同然の場所。
こんな腑抜けた演奏に飼いならされてるだけの事はあって、始まっちまえば、冷めた空気も一気に盛り上がりを取り戻す。
現に奈緒さんのギターの物珍しさから、ファンの連中は、結構な盛り上がりをみせてるみたいだしな。
ただな。
矢張り、こう言っちゃあなんなんだが。
ただでさえ、普通の演奏にしか聞こえなかった所に、
嶋田さんまで抜けてしまったこのバンドじゃあ、本当の意味での威力なんてものは感じられない。
言うなれば。
『赤い彗星シャア=アズナブルの出ないファースト・ガンダム』
『ニャルラトッテップが暗躍せず、平穏な日々しかないクトゥルフ』
『火事場のクソ力がまったく出せないキン肉マン』
『DIOが出てこない、第一部のJOJOの奇妙な冒険』
……の様な物でしかなく。
実際の話、必至に演奏してるのだけは十分に見て取れるんだが。
ファンでもない限り、この程度の演奏内容では、とてもとても満足に足る代物ではない。
正直言っちまえば、良くも悪くも、何所にでもある様な、普通のライブだとしか言い様がないんだよなぁ。
ガッカリだ。
そう考えると崇秀のアホンダラァも、いつも、こう言う感覚で俺達のライブを見てるのかもしれないな。
しかしまぁ、なんだねぇ。
崇秀繋がりで話をするならば。
アイツが居ない世界線ともなると、俺が『いまいちだな』って思うぐらいまで体たらくな音楽業界に成り下がっちまうんだな。
ホント、アイツの影響力だけは恐ろしいものがあるな。
それを妙に実感させられるだけの時間だったわ。
……なんて暢気な事を考えながら。
軽い気持ちで相手側の演奏を聴いていたら、早くも既定の3曲が終わっていた。
(´Д`)ハァ…悪いが、矢張り、気に止めるレベルですらなかったな。
まぁ勿論、そう思っていても慢心する気も、手を抜く気も一切ないけどな。
ちゃんとやりますよ、ちゃんと。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
山中君サイドが一生懸命演奏していたのですが。
矢張り、向こうの世界での演奏を聴き慣れている倉津君にしたら、大した演奏には聞こえなかったみたいですね。
ですが、アレなんですよ。
あの異常な世界での演奏を聴き慣れない人間にしたら、これは十分に盛り上がれるレベルの演奏であり。
また、そのレベルも、普通にメジャーに行けてもおかしくはない演奏だったりするんですよ。
あの世界のレベルが、ホント異常なだけの話なんで(笑)
さてさて、そんな中、山中君サイドの演奏が終わり。
次に倉津君とヒナちゃんの番が回って来た訳ですが。
ヤッパリ、この2人なだけに、普通に演奏するだけではなく、なんかやらかしそうな雰囲気ですね(笑)
次回は、その辺の様子を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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