最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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1588 奇襲!!ライブハウスでのライブ開始

公開日時: 2025年6月10日(火) 00:21
文字数:2,140

●前回のおさらい●


 今後のライブハウスとの関係を考え。

崇秀は、更なる交渉をし、半ば強引にライブハウスにゲストとして迎えて貰えたのだが……

 『CLUB・Y』


赤レンガ倉庫から約5分程歩いた所にある、倉庫1つ丸々使った大型のライブハウス。

その有り余るスペースに大型スピーカーをモニター等を大量に設置しているので、音や映像は大迫力な感じで出せるのだが、倉庫をくり抜いただけのワイルドな造りの店でもある。


なのにも関わらずだな。

此処って、アンダーグラウンドでは、結構、人気のあるライブハウスだったりするらしい。

まぁその他の理由としては、ライブハウス内には、かなり大きなカウンターなども設置されており。

飲み物や、食べ物の類が豊富に用意されてるんだから、此処が人気に成る理由が、ちょっとだけ解らなくも無い。


ただな。

そうやって良い部分があれば、悪い部分があるのは当然の事。

サービスが充実してる分、建物がそんなワイルド過ぎる造りなだけに、防音設備の様な高級な代物は一切ないので大音響が外に駄々漏れ。


近隣に住宅が無いとは言え、果てしなく、傍迷惑な造りのライブハウスでもある訳だ。


そんな、なんとも微妙なライブハウスに、崇秀と入って行く。


***


 俺らが入った瞬時には、ライブハウス内は、もう既に満員御礼。

熱気も、期待感も、焦燥感も、全てが抜群なぐらいに、この会場内に孕んでいる。


所謂1つの『全ての準備が完了してる』状態だ。


まぁ、1度出た客が、俺達のゲリラライブを見て、ほぼ全員が、此処に戻って来てるんだから。

これは当然の結果と言えば、当然の結果なんだけどな。

それに付け加えて、なんと言っても、これって無料ライブな訳だから、音楽好きが戻ってこない理由なんてないしな。


それでも、こんな時間にも関わらず400人位の観客がパンパンに入ってるのは、中々大したもんだと思う。


さて、早くも、そんな熱気が充満したライブハウスのステージに、崇秀と俺は、何事も無い様に入場して行くんだがな。


ヤッパ良いッスな。

この粗野な感じが、堪らなく良いッスな。


この間、奈緒グリのライブの時には、超大型高級施設である東京ドームで演奏をやらせて貰った経験があるんだけどな。

あそこの場合は、設備が、なにもかにも整ってて最高ではあったんだが。

なんて言うか、その分、全部が全部上品過ぎると言うか、野性味が無いと言うか。

兎に角、最高であるが故に、なにか物足りなさを感じてた部分があったんだよな。


だが、此処には、その物足りなかった部分がある。


まぁ、その足りない部分の原因に成ってたのが『観客との距離感』だと思うので。

そういった意味では、矢張り、街のライブハウスは『ある意味』最高だな。


……って感じの中。

ヒナが……いや基、崇秀がマイクを持ってパフォーマンスを開始する。


……っと思いきや。

俺に向って口パクで『DEI!! Die!! die!! fly』っと言い。


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪……


観客と問答無用する間もなく、イキナリ演奏を始めやがった!!


キタキタキタキタ!!

崇秀お得意の、観客の意表を付いた奇襲攻撃だ!!


これやると、観客が対応しきれないから、表情が面白い事に成るんだよな。


実際、そうやって、何の前触れもなく音楽が鳴り始めた結果。

なにが起こったか解らない観客は、口をアングリと開け、動揺したまま、ただコチラに眼を向けるしか出来無い様な状態に成ってたしな。


って事で、我、奇襲成功セリ!!


だから、この後も、この熱気を落とさない為にも。

2曲目『Perfect-dark』

3曲目『Loser dog heart』

4曲目『Eyes do`nt lie』

5曲目『Symbolic girl』

……を、一度も演奏を止める事無く立て続けに演奏する。


勿論、その間も、俺も、崇秀も、ステージパフォーマンス大好き人間だから、ステージ全体を使い。

あちらコチラ縦横無尽に動き捲りながらも、観客を大いに煽り、激しく演奏してるのは言うまでも無い。

その上で崇秀は、ヒナの魅力を最大限に生かしながらも、ライブハウス内にフェロモンを全開に撒き散らしながら唄い続けていた。


まぁ、そうやって唄いながら演奏をしている中でも、今回、特出すべきは5曲目の『Symbolic girl』


コケティッシュな動きの中に、自己表現を踏まえた、アンバランスな感じを漂わせる唄い方が、余りにも絶妙で。

メタルファンが多い、この会場内でも、不思議と魅入られた様に大絶賛の嵐だった。


既に観客は、ヒナの動きに釘付けに成り。

視線を外せないぐらい、もぉメロメロ状態にまで陥ってやがる。


まさに最高のライブだな!!


・・・・・・


けど、アイツ……一体どうなってんだよ?

あれじゃあまるで、生まれた時から女の子だったみたいな素振り。

完全に女性を知り尽くした、女性にしか出来無い様な表現を続けてやがるじゃねぇかよ。


まぁ、此処に入る前に一言二言交わした時には、普通の喋り方をしてたから、この部分は少し安心してたんだけどな。

ステージ上で歌ってるアイツは異常だとしか言い様がない。


なら、今ステージ上で歌ってる、あれって……本当に誰なんだ?


崇秀なのか?

それとも……ヒナなのか?


また、そうやって、さっきの思考が蘇ってくる。


俺は、観客の盛り上がる姿とは反して。

崇秀に対する得も言えぬ不安だけが、心の中に立ち込めていた。


アイツ……本当に大丈夫なのか?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


2人してライブ慣れしてるだけに、奇襲攻撃のタイミングもなんのその。

ほぼ口パクをアイコンタクト交わすだけで、これを見事に成功させましたね♪


まぁまぁ言うて。

こう言った奇襲攻撃は、崇秀がよく用いる手法ではあるのですが。

それを常套手段の様に使ってるのは、アチラの世界の話であって。

此方の世界では『まさか、こんな年端も行かない、路上ライブしかした事が無い様な子供が、こんな大胆な事をしでかす』とは観客も予想出来なかった筈なので、いつも以上に効果があったと思われますです。


さてさて、そんな風にライブの進行に関しては問題がないので。

寧ろ、倉津君が気に成るのは、女性らしさを演出し続ける崇秀の動向の方。


魂の共鳴なんて言うものがあるので、此方もなんの問題も無ければ良いのですが……


ってな感じのお話を、次回は書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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