●前回のおさらい●
ライブ中、崇秀が女性を演じ切れてた謎は、ある程度解けた。
でも、矢張り、魂の融合の方を心配する倉津君は……
「そっか。それは余計な心配まで掛けちまったな。……けどな。もぉ、その辺に関しては安心して良いぞ」
「なんでだ?その危険性ってのは、常に付き纏うもんなんじゃねぇのか?」
「まぁ、付き纏うだろうな。これだけは、どんな状況であっても付き纏う話だしな」
「だったら……」
今後もヒナの体を借りる事があるかもしれないなら、それは大きな問題になるんじゃねぇの?
まぁ、それ以前の問題として、ヒナが体を貸す貸さないの話があるから。
まずは一度、ヒナに主導権が完全に戻った時にでも、此処の確認を取らなきゃいけねぇだろうけどな。
アイツの意思を尊重してやるのが、一番大切だしな。
……かと言ってだ。
今、崇秀が居る手前、現時点でそれを聞くのは、あまりにも野暮ってもんだからな。
これは、流石にないとは思うんだが。
手伝って貰ってるのに、ヒナが『もう二度と御免よ!!』みたいな事を言っちまったら、流石に崇秀も気分が悪いだろうしな。
……っと、色々考えてたら、話が逸れちまったな。
今話してるのは、そんな先の話じゃなく。
なんで、魂の融合って危険性があるのに『もう大丈夫だって話になるんだ?』って話をしてたんだったな。
なんでなんだ?
「でもよぉ。一応の所、今の段階での、この子に教える事は全部教えたから、今後、早々に、この体を借りる事はないんだよな。だったら、そこは心配しなくても大丈夫なんじゃね?って話だ」
はっ?はぁ~~~?
今、このアホンダラァは、なんて言いやがった??
確か『現段階で教えれる事は全部教えたから、体を借りる事はない』って言いやがったよな?
マジでか?
召喚した時に居た実家と、ライブ中の短い時間だけで、教えれる事は全部教えたって言うのか?
まぁ、それならそれで確かに安心ではあるんだが、相変わらず有り得ねぇな……
「はぁ?なに?なに?もぉ全部ヒナに教えたのか?」
「まぁな。……っとは言っても。一旦、俺の持つ技術や知識を、この子の体に通しただけの話で、それ等を全部をマスターした訳じゃねぇぞ。だから、これからは、彼女自らが教えられた技術を、自分の力で葛藤しながら、必至に研究して、自分のモノにして行くしかない状態ではあるんだけどな」
「じゃあ、なにか?まだヒナ自身は、まったくの未完成って訳か?」
「当たり前だろうに。自分の事なのに、他人に任せて、それを完成させて貰ってどうすんだよ?ヒントを貰ったなら、それをどう扱うかは、自分次第だろうに?」
まぁ、そうだわな。
確かに、この崇秀の言い分は正しいと思える。
なにからなにまで全部やられちまったら。
それは既に、ただの人の形をしただけの操り人形に等しい存在でしかなくなっちまうもんな。
そりゃあ人としてダメだわな。
「そっ、そうだな」
「まぁ、そう言う訳だから、今、俺のやるべき事は、これにてお終い」
「おっ、おぅ」
「今後の事は、また考えて置くから、取り敢えずは、一旦コチラの世界の事は任せたぞ」
「おっ、おぅ」
「……オマエの言う、魂の同化って奴が、早いのも否めない話だからな」
「えっ?」
「だ~か~~ら~~~だな。思った以上に、魂の融合が早いから、この体に長居はマズイって言ってんの。俺が女に成るとか言う以前の問題として、これは殺人に等しい行為なんだからよ」
そりゃあヤバイな!!
俺も懸念していた部分ではあったんだが。
オマエが思える程、魂の融合スピードが速いなら、それは大問題だ!!
まぁ、実際の話をすれば。
どれ程のスピードまでがヤバイのかが解らねぇし、どれだけ魂の融合が進行してるのかも解らねぇんだが。
あまり良い話ではない事だけは確かだしな。
こりゃあ、急がにゃいかんな!!
「だっ、だったら、いち早く、蜂蜜酒のある実家に戻らないとな!!オマエも、そんな悠長に構えてないで、サッサと地獄に帰る準備でもしやがれ、この糞魔王が!!」
「なんて言い草だよ。……まぁ、少しでも早く、そうして欲しいなら。ほれ、はよ行け下僕」
言うに事欠いて、誰が下僕じゃあ!!
下僕言うなぁ!!
俺は、ヒナの下僕ちゃうわぁ~~~!!
・・・・・・
しかしまぁ、なんだねぇ。
今のやりとりをしてて、凄く思い知らされた事があったんだがな。
『向こうの世界で、崇秀が、ヒナと言う女で存在しなくてマジで良かったよ』
仮に向こうの世界でも崇秀が女で、こう言う会話が自然に成り立っちまったら。
多分、俺、コイツに滅茶苦茶嵌ってて、奈緒さん以上に尻に轢かれそうな勢いを実感させられてるんだからな。
それはもぉ、尻に轢かれて座椅子になってる処か、床にへばり付いたガムぐらいペッタンコに成っちまいそうな勢いだしな。
だから崇秀は、女じゃなくてよろしい。
ヒナに初めて会った時、あまりのツンデレっぷりに、オマエが女に成った方が面白いとか思ったけど。
頼むから、オマエはオマエのままで居てくれ。
あぁ、これは余談なんだがな。
コチラの世界では生粋の女性であるヒナに、俺が尻に轢かれずにいられる理由はな。
ヒナが、コッチの世界の俺にしか対応出来てないからなんだよ。
まぁ早い話、崇秀と比べて、まだまだ俺の扱いが未熟で、隙があるからなんですわ。
ご理解頂けましたかな?
……って、そんな事より!!
この余計な事ばかり言うパーフェクト・ヒナに、下僕って言われた事に反論せねば!!
「オマエこそ、その愛らしいヒナの顔で、下僕とか、マジでそう言う下種な事を言うなよな。ヒナのイメージが悪く成るからよ」
「あぁっそ。じゃあ、言い方変えるわ」
「はい?何を言い換えるって言うんだよ?」
「『お願い、早く戻って下さい。……もう私の心がもたない……私が違う私に……』っで、良いか?コレで満足か?満足したら、はよ行け下僕」
なぁ……ちょっと言い返したら、これですよ。
こうやってヒナの性能を最大限に生かして、俺のツボを突いてくるだろ。
しかも、また最後に、サラッと下僕とか言いやがってよぉ。
こんなもん、日常的にやられたら堪ったもんじゃねぇぞ。
こんな性悪女が、向こうの世界で存在したら、俺にとっちゃあ最悪極まりないだろ。
オィちゃんの言ってる『崇秀が女だったら危険』って意味は解って貰えたかな?
……って事でだ。
そんな危険性を踏まえた上でだな。
「ハイ!!頑張らせて頂きます」
それ急げぇい!!
(↑解っていても、ついつい、術中に嵌ってしまう馬鹿な俺)
「ハァ……オマエって奴だけは、マジで単独事故で死ねば良いのにな」
僕は死にましぇ~~~ん!!
事がどうあれ、僕は、良いものは良いと認められる純粋な人間なので!!
「ツマンネェ事は考えるな。また事故りそうになるから、真面目に運転しろ」
なんで解った!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
倉津君が懸念していた『魂の融合』に関しては。
一応、崇秀が、今現在ヒナちゃんに教えるべき事を教えたので、取り敢えずは解決。
コチラの世界に来る事がないのであれば、寧ろ、なんの問題もなしですからね。
しかも、それ故に、ヒナちゃんが体を貸す貸さないの問題も解決しておりますです♪
まぁ倉津君としては、この体を貸す貸さないに関して、ヒナちゃんがどう思ってるかは気に成る所でしょうが(笑)
さてさて、そんな中。
それでも尚、魂の融合が早いとの事なので、急いで帰宅する事に成ったのですが。
このまま何事もなく、帰宅する事が出来るのか?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
あぁっと、これは余談なんですが。
作中で倉津君が『向こうの世界でも崇秀が女性だったら大変な事に成ってるかもしれない』とか言ってましたが。
それ……まさに、コチラの世界の事なんで、全然大丈夫なんですけどね。
崇秀がヒナちゃんと言う女性として育てられてる以上、あんな口達者な邪悪な生き物にはなりませんから(笑)
本人が気付いてないみたいなので、一応注釈を入れて置きますね。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!