●前回のおさらい●
路上ライブをやる2人の前に、クレームをつけにやって来たライブハウスの店長。
だがそこは、倉津君が自身が何者であるかを相手の教え。
路上ライブ続行の交渉はアッサリ成立したのだが……また崇秀が(笑)
「へっ?」
「「「「「へっ?」」」」」
「だから、寒いの、真琴」
「おっ、おぅ、寒いのか」
「そっ。私は寒いの。だから、そちらのライブハウスお借りしよ。此処じゃ、季節的にも限界があるし」
はい?
オマエ、今なんつった?
「なっ、なんだと?」
「だから、寒いから、コチラのライブハウスをお借りようって言ってるの。いつまでも外でやってたんじゃ、折角、見てくれてる観客の皆さんが凍え死ぬんじゃないの」
いやいやいやいや、ちょっと待て、ちょっと待てくれよ。
確かに、この寒空の下で路上ライブをしてりゃ、観客が凍えるかもしれんからだな。
オマエの言い分自体は正しいとは思えるし、なにも間違っちゃいないとも思うぞ。
だがな。
それじゃあ、ヤクザの息子を名乗ってまで交渉した、俺の面目が丸潰れなんじゃねぇのか?
しかも、その交渉自体も全てが水の泡と成って、無に帰すって意味に通じるんじゃねぇの?
もしそうなら、そりゃあ余りにもねぇんじゃねぇか?
「オイオイオイオイ、ヒナ、そりゃあねぇだろ。今更に成って、ライブハウスを借りようなんて、悲し過ぎる提案だぞ」
「はいはい、余計な事を言わずに黙ってる。今後の事を考えると、ライブハウスとの揉め事は少ないに越した事はないの。色々して置く方が賢明なんだからさ。此処は私に任せなさいって」
なにがぁ?
この状況で、何を任せるんだ?
いやまぁ、なんか思惑があるんなら任せはするが、なにをするんだ?
そう思ってる間に崇秀は、俺を押し退けて店長の方に歩み寄って行く。
「はいはい、真琴は邪魔邪魔。……店長さん。私達は路上ライブより、ライブハウスで、正式なライブをやってみたいんですけど。お願い出来ますか?」
「へっ?いや、まぁそりゃあ、箱(ライブハウス)の使用料を払ってくれるなら、幾らでも貸してやるが」
「そうなんですよね。そこが問題なんですよ」
「お嬢ちゃん、なにが問題なんだい?」
「お金ですよ。正式なお金を払ってライブをしたいのは山々なのですが。私達は、路上ライブをやるのが精一杯で、余りお金が有りません。ですから今日一日、ライブハウスのゲストとして、私達を雇ってみませんか?」
「はぁ?なんの知名度も無い様なオマエ達を、敢えてゲストで雇えって言うのか?」
「そうです。……勿論、バイト代は、ライブハウスの使用料で1円も要りませんから、比較的お得だと思いますけど」
「ふぅ~~~む」
あぁ、なるほど。
崇秀の奴は、そう言う交渉がしたかった訳か。
さっきの俺が店長とした交渉のままだと。
半分以上脅してるのと同じ様な状況だから、このままだと、どうやっても軋轢や確執が生まれちまう可能性がある。
此処を懸念しての交渉か。
勿論、今路上ライブを楽しむだけであれば、そこまで考える必要性はないんだが。
今後のこのライブハウスとGUILDの関係を考えるなら、出来るだけその部分を減らしておいた方が賢明だからな。
まぁただ、なんと言うか。
この考え自体は悪くないと思うんだが。
崇秀の条件を、相手側のライブハウスに飲ます為には、あまりにも俺達の知名度が低過ぎて、何やら店長も悩んでいる様子。
これを成立させたいなら、なにか、もう一歩決め手が欲しい所だな。
なんて思っていたら……
「『集客率考えて下さいね。平日のこの時間帯から、どれだけの集客が出来ると思ってるんですか?譲歩出来る所で、譲歩した方が身の為ですよ。もぉあの子の正体が、誰だか解ってるんでしょ』」
「うくっ!!」
なんか、凶悪な事を耳打ちしやがったな。
店長らしき人間は、コソッと俺の方を見てから、ドンドンと顔色が蒼褪めてるからな。
あれは絶対に、ロクデモナイ事を言いやがったな。
・・・・・・
( ゚д゚)ハッ!
そうか、そう言う事だったのか!!
だから崇秀の野郎、俺が店長と交渉してる際、何も言わずに黙ってやがったんだな。
まぁ、それがどう言う事かと言えばだな。
①まず俺が倉津組の人間だと店長に解らせた上で、路上ライブ続行の交渉をする。
↓
②店長、相手が相手なだけに、路上ライブを認めざるを得ない。
此処で揉めたら、ヤクザに、なにされるか解ったもんじゃないしな。
序に言えば、路上ライブなら自身の店に何の損失もないのでOKだと考えた部分もあると思う。
↓
③だが、このままだと、今後の関係としては余りにも良くないので、それを俺が言った後に崇秀が交渉を開始。
↓
④相手側の店長が崇秀から受けた条件としては、そんなに好ましくないものではあるが。
この時間帯なら、例え俺達をゲストとして雇ったとしても、そこまで大きな損失が出る訳ではないから、別にOKしても構わない心境ではあるんだが。
簡単にこの事例を認めてしまったら、後にそう言う輩が大量に出て来たら困るので、今さっきまではOKを出し切れなかった訳だ。
↓
⑤だが此処で再び、俺の出生を相手側に叩き付ければ。
『ゲスト出演が妥協出来なくもない条件』なだけに、ライブハウスを無料で借りる事が出来る可能性が出て来るから、俺の出生の話が出るまで、崇秀は黙って見ていた結論に至る訳だ。
要するに崇秀は、それを交渉材料にする為に、あの時は黙ってやがった訳だな。
まぁ、これ自体は脅しである事には変わりないので、あまり褒められたやり方ではないし。
このままじゃあ、さっき以上にライブハウスとの関係が悪化し兼ねない話ではあるんだがな。
もしだぞ。
もし俺等のコンビの実力で、このライブハウスを盛り上げる事が出来。
相手側が納得出来る様な大きな利益を与える事さえ出来れば、寧ろ、初期段階での関係は良好となるんじゃねぇか?
……っでまぁ、序に言っちまえばだ。
今回は無料で借りたとしても、次回からは正式な金銭を支払ってライブハウスを借りれば、より関係が良くなるって寸法だと思うしな。
そんな感じだと思うんだが、どないだ?
「……っで、どうでしょうか?この提案に乗って頂けますか?必ず、ご期待に添える仕事が出来ると思いますが。今日だけでも、雇っては頂けないものでしょうか?」
「むむむ……わっ、解った。その条件で宜しく頼む」
折れたな。
「感謝します。……では、皆様、ライブハウス側のご好意で、場所をお借りする事が出来ました。『無料ライブ』ですので、お時間が許す限り、奮ってご参加下さい」
「へっ?なっ!!ちょ!!なに?俺は無料ライブをするなんて聞いてないぞ!!」
あっ、ゲストで雇うってだけの話だったのに、無料ライブにしやがった。
エゲツねぇ。
ただまぁ、なんとも上手いやり方をしやがったな。
こうする事によって……
「なぁ~~~にぃ~~~!!無料だって!!」
「タダなのか?タダなのか?」
「こんなスゲェ奴等のライブが、タダとか有り得なくねぇ!!」
こうやって状況を見守ってくれた観客達が自然と盛り上がっちまうから。
ライブハウス側も、もう『ダメだ』って言えない環境に成っちまうんだよなぁ。
マジでエグイ事しやがんな。
「だから、ちょ……」
「では、お約束通り、ライブハウスを丸ごとお借りしますね。……『必ず損はさせませんから』」
なんか、店長の言葉も聞かずに、満面の笑みでニコッと笑ってる割に。
最後には『丸ごとライブハウスを借りる』とか、エゲツ無い事を言だしやがったな、アイツ。
しかも、またなんか耳打ちしてるし。
まぁ、なんか考えはあるんだろうが。
アイツ、『可愛い羊の皮を被った、ド腐れ狼』だな。
そこだけは間違いない。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
良い子の皆さんは、こんな半分以上が脅しみたいな卑怯な真似しちゃいけませんよ!!
これは、相手の弱った精神状態に、平気な顔で付け込む様な悪人のやる行為ですからね(笑)
やっちゃダメですよ。
メッです、メッ!!
まぁただ、そうは言いましてもね。
『絶対に相手の利益を与える自信がある』なら、こう言う卑怯な手段もアリだとは思います。
結局の所、最終的にお互いがWin Winに成るのであれば、それは問題ないですからね(笑)
さてさて、そんな中。
ほぼ無理矢理ライブハウスを借り切った倉津君と崇秀なんですが。
ガチで店長さんに利益を齎す事が出来るのか?
次回はその辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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