最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1598 ヒナちゃんが此処まで崇秀に惚れ込む理由

公開日時: 2025年6月20日(金) 00:21
文字数:2,160

●前回のおさらい●


 崇秀を意地でも召還して欲しいヒナちゃんに対して。

倉津君は『魂の融合の危険性』を示唆して、やや怒り気味に説得してたのだが。

『魂の融合が起こっても問題ない』っと、ヒナちゃんが最後に言い出し……

「なにをそんなにムキに成って怒ってるのよ?そんなの私と、崇秀様の問題なんだから、アンタにゴチャゴチャ言われる筋合いなんか微塵も無いわよ」

「ハァ……あのなぁヒナ。オマエは、それで良いかも知れないけどな。じゃあ、崇秀の気持ちはどうなるんだよ?アイツが、そんな事を望んでるとでも思ってるのか?」

「なによ。望んでるかも知れないじゃない」

「なんの根拠があって、そんな事を言ってんだ、オマエは?」

「だって、あのお方は……私を優しく扱ってくれたんだもん」

「優しく扱っただと?」


まぁ優しくはあるんだろうけど。

アイツ、あれでいて結構なゲス野郎だぞ。


……って、此処は、そんな話じゃなさそうだな。



「そぉ、優しかった。あんなに優しくされたのは生まれて初めて、今まで誰1人として、私を、そんな風に扱ってくれた人なんて居なかったもん」

「はぁ?いやいやいやいや、そんなこたぁねぇだろ。オマエ、誰彼構わずチヤホヤして貰ってるじゃん」

「あぁ、違うなぁ。真琴は、本当に解ってないなぁ。そう言うんじゃないんだよね。これは、そういう話じゃないの」

「じゃあ、どう言う話なんだよ?」


なにが違うって言うんだろうな?

俺には、この違いがイマイチ分からんのだがなぁ。


つぅか、此処に来て、また訳の解らん事をいうなよ。



「んっとねぇ。私ってさぁ、ほら『ある程度なんでもこなせる』ってイメージがない?」

「なんの話をしてるのかは知らねぇが……まぁ、そんなイメージがあると言えばあるわな」


結構、ドジな面もあるけどな。


仲居間一門なだけに、そう言うイメージがなくはないわな。



「でしょ。だったら、そんな私に対して、誰かが、なにかをキッチリ教えてはくれたりしないのは解る?」

「まぁ、それもそうだな。なんでも出来そうな奴に、なにかを教えるなんてナンセンスの極みだからな。教えて、アッサリ出来た日にゃ、教えた方の立場がねぇからな」


あぁ……なんか、此処に来て、漸くこの話の内容が見えてきたぞ。


そう言う事か。



「だよね。でも、崇秀様だけは違った。そんな事は関係無しに、私を一個人として扱ってくれた上に、色々教えてくれた。だから、そう言う優しさがグッと来ちゃったのよね。ただ単にチヤホヤされてるのとは、格が違うんだよね」


ヤッパリそこかぁ。

崇秀の馬鹿は、誰に対しても分け隔てなく、なにかを与え様としやがるからな。


そこがヒナを勘違いに導き。

恋愛感情を沸かせてしまったみたいなケースだったか。



「あぁ、そこかぁ」

「そぉ。それにね。そうやって優しく接してくるって事は、多少なりとも私にも興味が有るって事でしょ。だったら、離れ離れで居るより、一緒に成った方が良いかなって」


なるほどなぁ。

そう言う経緯で『2つの魂が1つに成っても良いんじゃないか』って発想に行き着いた訳な。


けど、これに関しては、完全にヒナを勘違いさせちまってる部分があるんだよなぁ。


ハッキリ言っちまえば。

ヒナは、自分が『崇秀に特別扱いされてる』っと勘違いしてるみたいなんだよなぁ。


しかしまぁ、こりゃあ、まいった方向の話だったな。

俺が予想してた以上にコイツは、酷い崇秀シンドロームの重症患者だ。


崇秀の魔力に、完全にやられてやがる。


それに恐らく、此処まで入れ込むって事は。

コイツ自身が、今までに誰かと恋愛をした事がないんではないかとも推察される。


……って言うのも、この言葉尻からはな。

誰かから、ヒナを好きに成られる事があっても。

ヒナ自身が、自分から誰かを好きに成ったのは初めてみたいな印象を受けるんだよなぁ。


初めて恋愛。


初恋かぁ。

だからこそ、我武者羅に成って、無我夢中にも成れるって訳か。


これは意外な盲点だったな。


しかしまぁ、初めて好きに成った相手が……自分と同じ存在ってどうよ?


せめて他の奴にしろっての。



「なるほどな。そう言う事だったのか」

「解ってくれたの?」

「おぉ、オマエの気持ちは良く解った。……けどよぉ。それって、一言だけ言わせて貰うとな」

「なによ?」

「オマエさんさぁ、それって、スゲェ重い女の代表格みたいな考え方だぞ」

「えっ?……えっ?えっ?えぇぇえぇぇ~~~なんて?今、なんて言ったの?」

「いや、だからぁ、オマエ、スゲェ重い女だなって言ったの」

「わっ、私が、重い女?……嘘……そんな……」


あぁ……これは、かなりショックを受けてるみたいだな。


まぁでも、こう言う解答がコイツの口から出て来ても、おかしくはないか。


以前にも似た様な事を言ったが、基本的に仲居間家は恋愛勝者だからな。

例を挙げれば、コイツ、学校では『崇高なる高嶺のヒナ』とか呼ばれてる位、憧れの存在な訳だ。


それ故に『自分の事を異性が重く思う』なんて感覚が、完全に欠如してやがるんだよなぁ。


だから自然と、少々こう言う傲慢な思考に成っちまう訳だ。


まぁ言うてな。

これに関しては、自然にそうなっちまってるだけに、別にヒナが悪い訳でもないんだけどな。


そんな環境の下で育っちまった、そうなったも然りだしな。


・・・・・・


(´Д`)ハァ…


そうなると、アレだな。

どうやら、こりゃあ、その辺を踏まえた上で、一から十までキッチリとヒナに説明してやらにゃあいかんみたいだな。


そうしねぇと、後に色んな問題に発展しそうだしな。


しゃあねぇか。


つぅかよぉ。

なんでパラレルワールドに来てまで、恋愛相談を受けててんだ、俺は?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


ヒナちゃんが、崇秀に入れ込んでた理由は、そう言う事だったんですね。


要するに『ヒナちゃんは、なんでも出来る』と言うのが世間でのイメージとして定着してしまい。

なにをするにも、誰も教えてくれなかったから、今までは一人で頑張るしかなかった所に。

それこそ自分以上になんでも出来る人が、そんな自分に優しく救いの手を差し伸べてくれれば、惚れちゃうのは無理もないって話だったんですよ(笑)


まぁその上、崇秀は、物を教えるのが上手いので、余計に依存しちゃった訳ですな。


……っとまぁ。

そんな困った状態に成ってしまってるヒナちゃんの『目を覚まさせる』為。

倉津君が『それ、凄い思い女だぞ』っと切り出し、なにやら再度説得を試みる様なのですが。


……上手くいくんですか?(笑)


まぁ言うて倉津君は。

今までに恋愛相談や人生相談を、結構な数でこなしてきてるので、案外此処は安心かもしれませんがね。


次回は、その辺の説得シーンを書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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