●前回のおさらい●
ライブが盛り上がり過ぎた為に、次がラストソングだと言うとブゥブゥと文句を言う観客。
そんな彼等を制する為に崇秀が言い放った言葉が『明日学校があるので、もう無理』(笑)
しかも、その言葉に観客が呆気にとられてる内に、強引に曲をスタート!!
……にしても、この『渇望』って曲、あれだな。
まだ俺自身も1度も聞いた事の無い新曲なんだけどよぉ。
夜の砂漠と、オアシスをイメージした様な静かで幻想的な曲なので、耳障りの良い中々の名曲だな。
でもなぁ、そうやって曲自体が良いのは、特に問題はないんだが。
それを崇秀のアホンダラァが『Brain-vision=脳天映像』で、そのイメージを直接伝えてきてる所が、ちょっと問題があったりするんだよな。
なんせ、この曲ってのはな。
曲自体は、優しげで幻想的な曲ではあるんだけどな。
その実、歌詞の方は、砂漠に生きる辛さと、貧富の差を唄った、超絶皮肉な曲なんだよな。
金持ちは、豪華な屋敷住み、女を侍らせて、好き勝手し放題で、目一杯の贅沢をし。
貧乏人は、家も無ければ、金もなく、砂漠を渡り歩いて生活をしなきゃ飢え死にしてしまいかねない。
そんな貧富の差を、パートに分けて奏でてる部分があるんだよ。
まぁ、もっと要約して言うとだな。
『金持ちに成る為には、努力や勉強を疎かにしちゃイケナイ』
『貧乏に成ってしまったら、将来、酷い生活を強いられる羽目に成るぞ』
……ってな感じで。
まるで、さっき崇秀が言った言葉を丸々再現した様な歌詞で曲を構成し、やんわりと嫌味混じりに言ってやがる訳だ。
んで、それ等を踏まえた上で、それを『Brain-vision=脳天映像』で伝えられたら、観客はどうなるか?と言うと。
金持ちパートはまだしも、貧乏人パートに成ったら、究極なぐらい喉の渇きを感じる羽目になる訳だから。
この場は、今にも喉が渇ききって、喉を掻き毟りそうな人間で充満してしまうんだから、もぉどうしようにもないだろ。
ある意味、マジで最悪な曲だ。
しかしまぁ、なんで崇秀は、こんなk妙な曲をラストソングに選んだんだろうな?
『自分の言い分が正しい』っと言うのを表現したかったってのだけは、何となく解るんだが。
本当に、それだけなんかな?
***
その答えは、曲の終了後にあった。
曲が終了するや否や、観客達は拍手をするのも忘れ。
ある一定の場所を目指し、一斉に、そこに群がったからだ。
そぉ……曲を聴いた誰も彼もが、我先にと飲み物を欲し、バーカウンターが酷い混雑に成っていたんだ。
故に、この状態を作り出す事自体が、あの曲を奏でた理由に成る訳だ。
だって、今の現状を考えてもみ。
ドリンクが一杯500円として、400人がバーカウンターに群がってる訳だろ。
なら、単純計算をしても500×400=200,000円もの金額が、瞬時にして上がった事に成るだろ。
だったら、この深夜帯のライブハウスの使用料を差し引いたとしても、最低でも『割の悪い取引じゃなかった』と言う事なんねぇか?
大体にして、あの喉の乾き具合だったら、ドリンクを一杯飲んだだけで治まる様な代物じゃねぇしな。
下手したら40~50万の利益が上がっとる訳だからな。
しかもだ。
そこでは、直ぐに手渡せる瓶系の飲み物がバーテンダーの手によって、即時観客達の手に手渡されて行ってる訳なんだがな。
不思議な事に、この事態を、まるで予測していたのかの様な動きをスタッフ達がしてやがるんだよ。
兎に角、突然不測の事態が起こってる筈なのに手際が良すぎるんだよ。
そして恐らくは、これこそが、あの曲を奏でた崇秀が、裏で何か糸を引いてる証拠にもなる訳だ。
何故なら。
このライブハウスを借りた時に店長に耳打ちした『あの何か』が、これ等の下準備が出来た事にも関連してる筈だと思えるからな。
事実、そんな状況を見て崇秀のアホンダラァは『クククッ……』って感じで邪悪な笑みを浮かべてやがるからな。
ってかな。
店長と、どんな取引しようが構わないがな。
ヒナの顔で、そんな邪悪な笑みを浮かべるのは止せ。
イメージが悪成るわ!!
***
……さて、そんな悲惨な現状の中。
崇秀が、観客を無視しながら最後のマイクパフォーマンスを軽くして、この場のライブは終了。
その後、崇秀は、また店長と、なにやら話してる様だが。
予定もしなかった金銭が上手く動いた為に店長は上機嫌で、またなにか良からぬ事を2人で話している様子だ。
なので此処は『ナイス守銭奴達の狂宴!!』っとだけ名目上言って置いて、俺はそんな2人を無視しておこう。
っで、そんな中、俺は、何をしとるかって言うとだな。
さっきまで演奏を聞いてくれていた観客達に囲まれて、皆と一緒に歓談をしてる訳なんだがな。
なんか俺な。
ステージ上で、全く喋らなかったのが印象的だったのか。
コイツ等の中じゃ『インテリで冷静なベーシストキャラ』に位置付けされてんだよな。
俺から言わせれば『それ、誰だよ?』って感じだ。
しかしまぁ。
真実とは、トンデモナク真逆な印象を与えてしまったもんだな。
***
……っとまぁ、そんなこんなで。
みんなと話してる間にも、時間だけが無駄にドンドンと過ぎていき。
気付けば、ライブ終了から、早くも1時間が経過していた。
故に、今現在の時間は午前4時。
まだ俺の周囲にも、今日ファンに成ってくれた連中が沢山居て、話し掛けてくれてはいるんだが。
時間が時間なだけに、そろそろ引き上げ時だな。
お名残惜しい部分は多々有るんだが、ライブをやってりゃあ、またどこかで逢える機会も有るだろうしな。
そう思い、崇秀に声を掛けて引き上げる事にした。
そして再び、孤独な運搬クエストが開始する。
***
……の筈だったんだがな。
今日のライブで知り合いに成った連中が、気持ち良く運搬クエストに協力してくれたので、約2往復でアッサリとクエスト終了。
矢張り、多人数で運ぶと、運搬クエストは楽だ。
……っで、まぁ、早々に家路に付く事が出来たんだよな。
あぁ、因みにだけどな。
崇秀は、俺が運搬クエストを開始する前に、先に車に乗せていたんだがな。
1回目の運搬で、車に戻って来た時には、既にグッスリと眠っていた。
ヒナの慣れない体で、疲労困憊なんだろうな。
体のベースが同じとは言え。
他人の、しかも異性の体じゃ、ペース配分もなにも有ったもんじゃないからな。
疲れるのも頷ける。
だから此処は、静かに寝かせて置いてやろう。
そう考えた俺は、運搬を手伝ってくれた観客のみんなにはキッチリと挨拶だけして、静かに車を発進させた。
勿論、安全運転を心掛けながら、下道で制限速度を守り。
実家に向って、ひた走り続けてるのは言うまでも無い。
まぁ、別に高速使っても良いんだけどな(笑)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
崇秀が、またやらかしやがりましたぁ♪
まぁ言うて、此処は予定調和。
ライブハウス側に『コイツ等の実力なら、ゲストとして使っても十分に儲けが出る』と思い込ませる事が崇秀にとっては主流だったので、これは必至事項だったと言えなくもないですからね。
契約とは、相手の満足度こそが信頼に繋がるのですから♪
しかも此処さえあれば、次回の契約も取りやすくなりますしね(笑)
さてさて、そんな事がありながらも。
綺麗にライブを終え、帰宅の途についた倉津君なのですが。
崇秀が寝てるので、孤独に運転して帰るだけで終わりそうかも……
(まぁ、そんな訳がないんですけど(笑))
取り敢えず次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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