最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1597 乙女心の正当化

公開日時: 2025年6月19日(木) 00:21
文字数:2,088

●前回のおさらい●


 ヒナちゃんが倉津君に見せたかったものの正体が、今、明らかに!!

果たして、ソフトケースから出て来たものは、なんなのか?


バレバレですけどね(笑)

『IBANEZ UV-7』


(´Д`)ハァ……ヤッパリか。

ヤッパリ、予想に反する事なく、それが出て来やがったか。


ソフトケースに『IBANEZ』って書かれてた時点で、なんか嫌な予感はしてたんが。

寸分の狂いもなく、その嫌な予感が的中しちまったよ。


まぁ、言うて。

嫌な予感が的中したとは言え、流石に現状で、それを表情には出さんがな。



「ほぉ、UV-7か」

「そぉそぉ。ある楽器屋さんで偶々ミント状態の物を見付けてね。ネットで注文して置いたのよ。それが漸く、今日届いたのよね。もぉ感激」

「そうなんか?でも、なんでまた、そんなに感激なんだよ?」

「ハァ……もぉ……アンタって、考える知性がないの?そんなの考えるまでもなく、崇秀様と同じ物が欲しかったからに決まってるでしょ。そんな事も解らないの?」


……だと思ったよ。

オマエさんのこったから、そんなこったろうと思ってましたよ。


この同キャラ崇拝者め!!



「あぁ、そぉ。そりゃあ良かったな」

「ちょ!!なによそれ!!アンタも、もっと喜びなさいよ」

「なんで俺が……」

「なに言ってんのよ。これさえあれば、崇秀様がコチラにいらした時、なんの支障も無く演奏して貰える様に成ったんだから、アンタも喜んで当然じゃない」


あぁ……まぁ、そう言われれば、そうだな。


なんで俺が、崇秀との共演を、そこまで喜ばにゃあイカンのかは謎のままだが。

それとは別に『アイツの愛器がなにか?』って聞かれたら、即座に浮かんでくるのは、間違いなくUV-7かフラン(ギブソンSGの改造ギター)もしくは、グレッチのホワイトファルコンって所だもんな。


そんでまぁ、その中で、一番手に入れ易そうなものはUV-7だから、それを狙った訳か。


……でもアイツ、多分、もぉ相当な用事が無い限り、コッチの世界に来るつもりはないんだけど、これ、どうしたもんだ?


万が一にでも、魂の融合が起こったら危険だと思ってやがるからな。


なので喜んでる所、非常に悪いとは思うんだが。

それは、骨折り損の草臥れ儲けになっちまいそうな感じだな。


けどな。

流石に、今、その真実を伝えてやるのは可哀想だろ。


そこまで俺も空気が読めない訳じゃないしな。



「ほぉ、そりゃあまた、中々用意周到なこったな」

「でしょ。……だから、次来る時は、必ず、崇秀様も連れて来てよね」

「へっ?」

「だって頃合じゃない?この間のライブから、丁度、今日で二週間でしょ。だったら、練習の成果を見て貰いたいし。二週間も魂が触れ合ってなかったから、寂しいのよね。折角、UV-7も用意したんだから、この体で使って貰いたいしね」


ヤバイなぁ。

まさか、その為だけに、このUV-7を用意していたとはな。


コイツ、相当勢いで、崇秀に入れ込んでやがるな。



「オイ、コラ、ヒナ」

「なによぉ?」

「オマエが、崇秀に入れ込む気持ちも解らんでもないがな。魂の融合の危険性があるから、そう言うのはダメだ。アイツは気軽にゃ呼べねぇよ」

「なんでよぉ?別に良いじゃない。そんな簡単に、魂の融合なんて起こり得ないわよ」

「アホか。その、もしもの事が有ったら、どうすんだよ?それって、オマエが死んじまうのと一緒なんだぞ」


そんな危険を孕んでる以上、絶対にダメだ。


俺みたいに、コッチのボンクラと、そんなに魂の質が変わらない奴なら、まだ鬩ぎ合いが有るから均等も取れるだろうが。

オマエと、崇秀とでは、圧倒的に魂の質が違い過ぎる。


遊び半分で下手な事をしたら、アイツの強力な魂に飲み込まれちまうぞ。


あれ?……逆だったっけ?


うん?まぁ良いか。

多分、そんな感じの話だったと思うし。

(↑間違ってます(笑))



「違うね。それは死とは言わないの」

「どこがだよ?人の意思に飲み込まれちまったら、自分の意識が無くなるんだぞ。そんなもん、死んだも同然じゃんかよ」

「それも違うね。もし仮に、そうなったとしても、それは2つの魂が重なって、新しい魂が生まれるだけの話。片一方だけの意識が無くなるってもんじゃないの」


2つの魂が、新しく1つの魂に生まれ変わるだけだと?


なに言ってんだコイツは?

そんな馬鹿みたいな屁理屈を捏ねて、意味の解んねぇ事を正当化しようとしてんじゃねぇぞ!!



「だとしてもだな。魂1つに、体が2つ。こんなもん、どうやって処理するんだよ?」

「なに言ってるの?そんなの簡単じゃない。魂が2つの体を行き来して、操れば済む話じゃない」

「なっ!!」

「元来、私と、彼には、時間や空間って概念が無いんだから、必要以上に心配をする必要なんてものはないの」

「オイ、いい加減にしろよヒナ!!俺はなぁ、オマエや、崇秀って個人が好きななんだぞ。それがワザワザ、お互いの個性を潰してまで1つに成る必要性なんて、何所に有るつぅんだよ?あんま馬鹿ばっか言ってんじゃねぇぞ!!」


なにが1つに成っても良いだ。


そんなもん、なに1つ良い訳ねぇだろ。

寧ろ、なにが良いのかすら、俺には全く理解出来んわ。


つぅか、そうやって乙女心全開に成るのは結構だがな。

冷静に成って、もう一回、それがどういう事なのかキッチリ考えてみろつぅの。


しかしまぁ、ヒナの奴、なんで此処まで崇秀に入れ込んじまってるんだろうな?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


豪く今回は揉め事が多い回ですよね。

しかも、今回のは度が越えてる様子なので、倉津君もややお怒りモード。


しかしまぁ、崇秀に色々教えて貰ったとは言え。

本当に、なんでヒナちゃんは、此処まで崇秀に固執してしまっているんでしょうね?


次回、その理由が明らかに成りますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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