草ww破滅部活動日記

草ww破滅部シリーズ
Kay.
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71日目 嫌な熱い涙

公開日時: 2022年6月18日(土) 11:35
更新日時: 2022年6月25日(土) 17:57
文字数:1,316

ー スカイラーの屋敷 ー


スカイラーの家は大きな家で、母が元ビオラ奏者。

父はテレビプロデューサー。かなりお金も持っていてあの屋敷を建てた。母はビオラ奏者を引退したものの作曲家、編曲家としても今なお活躍している。世界的に有名な女性でドイツ人。父は某有名テレビをプロデュース。人気の日本人男性だ。


屋敷は西洋風の豪邸。執事やメイドさんも屋敷内にいる。


スカイラーに1人の執事が付いている。それが市場さんだ。


最近この屋敷では不穏な空気が流れていた。スカイラーと母のシドーニアが喧嘩した。


それはあの件の事。まだ文化祭準備期間が始まる前だった。


屋敷内、入ってすぐの右側には階段がある。スカイラーは学校が終わり帰った。


家に入ると、階段から丁度シドーニアが降りてくる。


〈シドーニア〉ゆきな、ちょっと来なさい。


シドーニアには倖奈と日本名で呼ばれることが多い。


〈スカイラー〉なによ?


と、ふたりは音を遮断する防音室に入った。ビオラやピアノなどの楽器が弾ける。


〈シドーニア〉ねえ、ビオラのほうはどうなの?


〈スカイラー〉どうって? 変わりないわよ


〈シドーニア〉最近、スクール行ってないそうね


〈スカイラー〉え? そりゃ勉強も部活もあるんだから行けない日もあるよ! ビオラは本気でやってる!


〈シドーニア〉あのね、それは本気とは言わない。本気なら部活も勉強も出来なくなるほど一所懸命になるの


〈スカイラー〉それは……


〈シドーニア〉あなたウィーンに飛びなさい


〈スカイラー〉え?


〈シドーニア〉丁度オーストリアで音楽院の募集が始まったわ。大学に入るまでは向こうでスクールに通って、大学からはウィーンの音楽院に留学しなさい


〈スカイラー〉え、どういうことなの? そんな急に言われても……


〈シドーニア〉あのね、これはあなたのために言ってるの。日本にいても音楽で活躍するのは困難なのはわかってるわよね? 本当にビオラ奏者になるなら向こうの音楽院で学び、本物のビオラ奏者になりなさい


〈スカイラー〉なんでよ! 私は高校卒業するまでは日本にいる!


〈シドーニア〉だめよ! 今まで自由にさせて来たんだから、母親の言うことききなさい!


〈スカイラー〉そんなこと、私が決めることでしょ?


〈シドーニア〉もしかして自信ないの?


〈スカイラー〉そんなことない! ただ勝手に決められて怒ってるの!


〈シドーニア〉あなたは才能がある。私に似てね。いま頑張らないとその才能も無くなっていくのよ


〈スカイラー〉ハア…… 私はあなたの機械じゃない


〈シドーニア〉そんなこと言ってないわよ。もう決めたから10月26日火曜日に行ってもらうから


〈スカイラー〉勝手に決めないでよ!


スカイラーは怒って防音室のからでると自分の部屋に上がり、扉をいつもより強く閉めた。


扉を背にずるっと徐々に座り込むスカイラー。


そして泣き始めた。そこに犬のオリビアが近寄ってくる。オリビアは涙を流すスカイラーの顔を舐めた。

スカイラーは、母に勝手に決められた留学、ビオラの事、学校のこと、部活のこと、全てが不安でどうしたらいいのかわからない。さらに「自信がない」と言われ、反撃も出来なかった自分にもイライラして泣いてしまった。


スカイラーはオリビアを抱きしめて、熱い涙で溢れていた。





ー 71日目 嫌な熱い涙 ー つづく。

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