1年前──────────
2人きり、屋上
〈牡丹〉つばき、本当にいいのか?
〈椿〉おれはこの道を行くよ
〈牡丹〉たしかに最近のお前は忙しそうだ。部活だってまともにしてないだろ
〈椿〉部活だって頑張ってる、まあたしかにできない日は多いけどおれはもうこれが夢になってるんだ
〈牡丹〉それはいい事だ。それはいい、このまま部活をお疎かにしたままにして終わるのか? それが気に食わない。つばきが作ったんだろ
〈椿〉わかってるよそんな事! おれだってこの道にしがみついているんだ! 今更変えられない。おれを信じて道久も要も付いてきてくれる、責任がある
そんな余裕のない椿をみて牡丹は言う。
〈牡丹〉たしかにあの2人の人生もかかってくる。だけどいま少し力抜いてみたらどうだ?
〈椿〉なぜ?
しぶしぶ答える。
〈牡丹〉みんな心配してるんだぞ。僕が言うのもあれだけど、つばきは真面目だ、責任があるのはわかる。でもそれで身体壊したら意味無い
〈椿 〉わかってる
〈牡丹〉わかってないからだ。すこしゆっくりして休めよ、ぼくらまだ高校生なんだから、終わりまで楽しめばいい、たしかに進路も大事っていうかもしれない、たまには良い
椿は風にゆられながら、牡丹の話を聞いていた。
椿はあのバンドのスカウトから、バンドに対して本気で打ち込んできた。高校生活、部活、勉強、そしてバンド生活をあらたに始めている。
かなり辛いようで、いまは勉強や部活をお疎かになる。バンド生活がいつの間にか、楽しめなくなって来ていた。スカウトされ、その3ヶ月後初の小さなライブハウスで200人キャパに対して100人はきていて、成功した。そこから期待の星となったわけだが、他の事ができなくなっている。
最近元気がなく、本人も気づかない。
〈牡丹〉つばき、少し休めよ。あんまりメンバーを心配させるな。たしかに凄いことだが、休むのもたまにはいいんじゃないか?
〈椿〉珍しいなお前がそんな事言うなんて
〈牡丹〉みんなお前に助けられたからだ。元気の無いつばきが放っておけないのさ。ぼくは別だがな。
早く卒業して君ともオサラバしたい
〈椿〉さすがおれのライバル! だけど少し楽になったよ、どうやら力が入ってたみたい
〈牡丹〉分かったらいいんだ。もう昼休みが終わる。授業行こう
心のどこかで椿は感謝している。それは牡丹も一緒だ。
良きライバルの2人。
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