「喰らえ!」
「ーーっ!」
さらに奏良が放った更なる銃弾の嵐が、『レギオン』のギルドメンバー達の動きを阻害した。
「プラネットちゃん、モンスターの動きを止めて!」
「お任せください!」
声に呼応するように、花音達をブラインドして近づいていたプラネットが、モンスター達にとっては死角から現れる。
「逃がしません!」
プラネットは吹っ切れた言葉ともに、両拳を花音の攻撃から逃れたモンスター達に叩きつけた。
それと同時に高濃度のプラズマが走り、爆音が響き渡る。
しかし、それはモンスター達の動きを止めただけで倒すには至らない。
だが……。
「それに伝説の武器は、『アルティメット・ハーヴェスト』もーーイリスも持っているからな」
「徹様!」
徹の声に呼応するように、イリスはすかさず徹の加勢に向かう。
躍動する闇と槍の光が入り乱れる戦場を、イリスは凄まじい速度で上空から駆ける。
彼女の繰り出す斬撃は早く鋭く、望達を包囲しているモンスター達を切り裂いていく。
その隙に、望達は『レギオン』のギルドホームにたどり着いた。
「ここからは、お兄ちゃんが事前に用意したアイテムで虚を突くよ」
「……っ」
花音の放った氷属性の飛礫アイテムが、次々と『レギオン』のギルドメンバー達とモンスター達へと叩きつけられていく。
モンスター達が退く中。
これに対して、『レギオン』のギルドメンバー達は攻撃を避けながらも、行く手を阻むように防御を固めた。
「俺も加勢をしないとな」
徹がそう告げたその瞬間、背中に不穏な気配を感じ取る。
徹は振り返ることはせずに、ただ一言、言葉を発した。
『ーー我が声に従え、光龍、ブラッド・ヴェイン!』
「ーーっ!」
今まさに、背後から徹に襲い掛かろうとしていた騎士風の青年ーー賢は、突如、目の前に現れた光龍の咆哮によってそれを防がれてしまう。
金色の光を身に纏った四肢を持つ光龍。
巨躯の光龍は、主である徹に危害を加えようとした賢を睥睨した。
徹が呼び出した光龍は、さらに身体を捻らせて賢に迫る。
「くっ」
剣を防がれたのが予想外だったのか、賢は体勢を立て直すこともできずにまともに喰らう。
しかし、光龍の更なる追撃は、駆けつけた別のプレイヤー達によって防がれてしまった。
「なっ!」
鋭く声を飛ばした徹は、ギルドホームの奥から次々と迫ってくるプレイヤー達の存在に気づいた。
全員がレア装備を身につけ、それぞれの武器を徹達に突きつけてくる。
このまま、ここで戦うのはまずいなーー。
徹の頭の中で警鐘が鳴る。
賢の周囲には、幾人もの『レギオン』のギルドメンバー達がいた。
そして、次々と壁を作るように後続が現れる。
相手は、騎士団に等しい。
それらを相手に戦い、『レギオン』のギルドホームに突入するのは骨が折れるだろう。
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