俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!?

~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~
白野 ケイ
白野 ケイ

直談判

公開日時: 2022年5月1日(日) 20:00
文字数:1,414

「ただいま、戻りました。」

 

城へと戻り上位魔獣2体との遭遇など、事の顛末をルービット王に話した。

王からは良く生き延びた、と一言声をかけられた。

 

「して、その者達は?」

 

側近から質問を受ける。そう、ここからが勝負なのだ。

 

「実はですね、私とヘラが生き延びることが出来たのもこの2人のおかげでして。」

 

「名乗ってみよ。」

 

王が口を開いた。

 

順番に名前を名乗っていく。

2人が少し緊張しているのがわかった。

 

「よくぞ私の兵を守ってくれた。心より感謝する。」

 

ここで兵に入れてほしいと言うか?しかし..

 

「後日、礼をさせてもらう。下がってよいぞ。」

 

「あ、あの!」

 

言った。言ってしまった。

このタイミングしかない。2人も一緒に戦わせて欲しいとお願いするんだ。

 

「こ、この2人も兵に所属させてはいかがでしょうか。」

 

言った。言ってやったぞ。どうくる。

 

「秋宮。言い分はわかるが、ルデビト軍は試験を突破した強者だ。いくら助けられたといえど、簡単に入隊させるわけにはいかぬ。」

 

シン、と静まり返る。やはりそうか。そう簡単にはいかないよな。大人しく次の試験を待つしか。

ごめん、悟。聖羅。

 

「ありがとう魁斗。もう大丈夫だ。」

 

覚悟を決めたような悟の表情。諦めだろうか。俺に力ではどうにもできない。

 

「では、ルービット王。」

 

悟が小さく手を挙げる。

 

「今期入隊した中で、1番強い兵士と戦わせてください。」

 

突然の悟の発言。王だけでなく、家来たちもざわつく。

 

「何を言い出すんだ!まぐれで上位魔獣を退けたくらいでいい気になるな!」

 

家来の1人が叫ぶ。悟の力を知らなければ無理もない。

 

「中野とやら。ステータスを見せてみよ。」

 

「ステータス?」

 

首をかしげる悟。そうか、ステータスの存在すら知らないんだ。

慌ててステータスの出し方を教える。ステータスすら知らない悟に、家来たちは嘲笑している。

だが確かに悟と聖羅のステータスは気になる。あれだけの強さ、間違いなくとんでもない数値だろう。

 

こ、これは!?

 

ひ、低い。攻撃力が200ほどしかないだと!?

 

「何してんだ?早く見せろ!」

 

家来からの催促。こんなステータスを見せれば間違いなく入隊はできないぞ。

 

「え、ええと。」

 

「やっぱり上位魔獣なんて嘘じゃないのか?秋宮。」

 

「そいつが上位魔獣を退けるなんて無理だろ。」

 

くそ、好き放題言いやがって。俺のことはいいが、悟や聖羅を悪く言われるのは心底腹が立つ。でも、どうしたら..

 

「俺のことはいいです。でも、魁斗のことを悪く言うのはやめていただけませんか。どうぞ、ステータスです。」

 

悟。

おそらく自分のステータスが低いというのは勘付いているだろう。それなのに。

 

案の定、城内は笑いに包まれた。

当然だ。あのステータスで1番強い奴を出せと言っているのだから。とんだ恥ずかしい奴だと思われるだろう。

 

「もういいから帰りな!」

 

「あんま嘘はつくものじゃないぜ3人とも。」

 

散々な言われようだ。俺が兵に誘ったばっかりに。

 

「ごめん2人とも。帰ろうか。」

 

諦めようと、声をかけたときだった。

 

「いいじゃないですか。戦わせてみては。」

 

後ろから入ってきたのはアレクだった。

 

「彼らからは、何かとんでもないものを感じます。強い人が入るのは国にとってもいい事。弱ければそこで正式にダメだと言えばいい。」

 

アレクさん..

 

「それもそうだな。1戦、組んでみるか。」

 

さすがは3騎士。

アレクの発言力のおかげで、入隊試験にこぎつけた。

 

「では早速明日だ。アダンとアルフレッドを呼んでくれ。」

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