俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!?

~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~
白野 ケイ
白野 ケイ

魁斗VSアルフレッド

公開日時: 2022年4月9日(土) 20:05
文字数:766

トレーニングはしてきた。

やれるだけのことはやった。

それでも、アルフレッドを前にすると恐怖しか湧かない。


主席だから、という理由だけではない。

やはり明らかに強者のオーラがある。


リングの中で対峙すると、自分より小さいはずのアルフレッドが数倍大きく見える。


心臓が高鳴って壊れそうだ。


アルフレッドが剣を構えたのを見て、慌ててこちらも構える。


周りの歓声が聞こえない。

聞こえたのは、始まりを告げるゴングだけだった。


やばいやばい始まったのか。

緊張で吐き気すらする。頭もボーッとしている。


アルフレッドはどうくる?

俺が弱者というのは知っているだろうから、おそらく様子見で距離を取るだろう。


そう考えた瞬間には、アルフレッドの剣は燃えていた。


「中位魔法:【炎閃暁】」


なるほど、アルフレッドに弱者とかは関係ないわけだ。

目の前に敵がいたら倒す。それだけの事なのだろう。


手汗で滑って剣を落としている事実に気がついたのは、それからだった。


うそ、どうしよ。

アルフレッドの剣が止まって見える。


死ぬ直前って、こうなるんだろうな。

ゆっくりと思考を巡らせる。


剣を拾ってから攻撃を受けるのはまず無理だな。

でもこのまま食らったら多分死ぬ。


かわせるか?いや、さすがに間に合わん。


思いついたのは、手で挟んで止める事だった。


剣がゆっくり見えるのはいいが、自分の体も思うように動かない。


やっとの思いで燃えている剣に手を添えて、止めようと試みる。


なぜか熱さは感じないが、力を入れても押し返される。やはり素手じゃ無理か。てかいつまでスローに見えてんだ。


その時だった。

パキパキと音を立てる剣。気のせいか光っているように見える拳。


触っている部分からポッキリと剣が折れ、刃先が宙に舞い上がった。


棒立ちになる俺とアルフレッド。

視界は通常に戻っている。


カランカランと音を立てて落下した刃。


何が起きた?

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート