俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!?

~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~
白野 ケイ
白野 ケイ

オリジン:ジルホムス

公開日時: 2022年3月16日(水) 20:36
文字数:1,054

手から解放されたアイネが、ウーラに抱えられている。

良かった、どうやら無事のようだ。

 

「なんで、ウーラがここに?」

 

「ようアレク。なーんか嫌な予感がしてさ。俺もトラスフェントで飛ばしてもらった。イルガのおっさんには城に残ってもらってる。」

 

アレクがウーラの手を借り、立ち上がる。

 

「まだやれるか?アレク。」

 

「もちろん。みんなを守らなきゃならない。」

 

「アレクと一緒に戦うなんていつぶりだろうな。そうだこれ、渡しとくわ。」

 

ウーラは携えていた大剣をアレクに渡した。

 

「はは、これ持ってきてくれたのか。助かるよ。」

 

大剣を見たとたん、ウーラ大好きシューバートが驚いた声を出した。

 

「あ、あれ、ジルホムスだよ!アレクさんのオリジン!」

 

「オリジン?」

 

とっさにシューバートに聞いてしまった。

 

「そう、かなりの猛者になると自分専用の武器が作られるんだよ。それがオリジン!ジルホムス本物だぞおい!」

 

シューバートはおそらく3剣士のファンなのだろう。

アレクがジルホムスを握ると、赤い光を放ちだした。

 

「俺が奴の動きを止める!その隙に一発叩き込めアレク!」

 

そう叫ぶと、ウーラは魔獣に向かい走り出す。

アレクはゆっくりとジルホムスを構えた。

 

「中位魔法:【リストフロスト】」

 

魔獣を風が包み込む。

 

「中位魔法:【チョークベント】」

 

続けてウーラが鋭い風の刃を放った。魔獣にあまりダメージはなさそうだが、動きは少しスローになったか。

 

「やっぱり全然効かねぇか。バケモノめ。」

 

そう言ったウーラめがけて、魔獣は体内から巨大な岩石を3つはじき出した。

 

「くっそ、【チョークベント】!」

 

2つの岩は破壊したが、1つが間に合わずウーラに岩が直撃した。

こちらまでウーラが吹き飛ばされてくる。

 

「ウーラさん!」

 

「こっちくんな!防御の魔法使える奴はみんなを守れ!」

 

ウーラさんもかなり出血してる。平気ではないぞ。

みんなが何もできない悔しさを噛みしめている。

 

アレクは依然として目を閉じて構えたまま動かない。

 

「下位魔法:【小壁】。すまんわしにはこれくらいしかできん。」

 

アダンが守りを作り、全員をおおった。

 

「私もできるわ。下位魔法:【小壁】。」

 

続いてヘラも守りを作り、半透明な2枚の壁が全員をおおった。

 

「まぁ、気休めくらいにはなるか。中位魔法:【チョークベント】。」

 

ぼろぼろになりながら、ウーラが応戦し続ける。

 

そのウーラに意識を集中しすぎて、背後からくる魔獣の岩に誰も気がつかなかった。

 

「みんな!後ろよん!」

 

コーレーがいち早く気付いたが、もうすでに2枚の壁は簡単に割られ、巨大な岩は目の前にあった。

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