アルフレッドと戦うことになったからには、来週までに出来ることを全てするしかない。
すぐに頭をよぎったのはアレクとの特訓だった。
しかし、
「申し訳ありません。私も審査に加わるので、参加者との接触は禁止されているんですよ。」
絶望の返答。
どうしたものか。もう時間がないってのに。
「魁斗はアルフレッドとだろ?大変だな。」
ミゲルが後ろから声をかけてくる。そういえば自分のことに精一杯で、周りのカード見てなかったな。
「ほんとしんどいよ。ミゲルは?」
「アダン。」
「oh..」
ミゲルも主席との戦いか。こりゃきついぞ。
「でさ、魁斗がよければなんだけど、一緒に特訓しないか?」
思いがけない誘い。だが…
「俺めちゃくちゃ弱いし魔法も使えないからさ。相手にならないんじゃ。」
アレクしか頼れなかった理由がこれだ。
弱すぎる相手と組んだところで、いい迷惑だろう。
「じゃあ、私も混ぜてくれるかしら。初戦だから緊張してるのよ。」
明るい表情で手を振っていたのはアリサだった。
3人でやるとなれば迷惑もかけないだろう。本当に助かる。
「アリサ、相手は?」
「シューバートよ。あのウーラ信者。」
シューバートか。知識も豊富そうだったし、相当手ごわいだろうな。
「じゃあさ、俺が泊ってるとこ来なよ。でかい地下競技場があるんだ。」
2人をミーサの屋敷に招待した。
最初は驚いていた2人も、特訓が始まれば真剣そのものだ。
ミゲルは防御力、アリサは素早さのステータスが7000近くあるらしく俺では全く歯が立たない。
2人にはステータスを見せたが、とんでもなく気まずい顔されたなぁ。
「特訓お疲れ様!お風呂入っておいで!ご飯も食べていくといいわ。」
どことなく嬉しそうなミーサが楽しそうに呼びかける。
初めて子どもが友達連れてきた時のお母さんじゃないんだから。
「よし、じゃあ魁斗一緒に風呂入ろうぜ。」
誰かと一緒に入るなんていつぶりだろうか。
なんだかちょっと恥ずかしい。
頭を洗っている時だった。
「これ、アザか?」
ミゲルが俺の左わき腹を見て言う。
アザ?特訓している時に怪我でもしたかな。
鏡越しに自分のわき腹を見ると、直径5センチほどの入れ墨のようなものが入っていた。
黒い刀が2本、交差している模様だった。
「なんだこれ..」
自分の体なのに初めての発見で、困惑を隠せなかった。
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