俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!?

~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~
白野 ケイ
白野 ケイ

さぁ、試験へ

公開日時: 2022年2月23日(水) 20:30
文字数:1,091

来たる今日、ついに試験当日を迎えた。

結局1度も魔法は使えず、アレクの剣に傷1つ付けることはできなかった。

不思議な光がでることもあれ以来なかった。

 

「いってらっしゃい。頑張ってね。」

 

ミーサが送り出す。

 

「応援しています、魁斗さん。お気をつけて。」

 

アレクも続いた。

本当に2人にはお世話になった。身の回りの世話だけでなく、住むところまで提供してもらって修行をさせてくれた。

何としてでも剣闘士になって恩返ししなければ。

 

試験会場となるルデビト王の城まで向かう。

ミーサの屋敷からでも見えるほどの大きな城のため、迷うこともないだろう。

 

大きい城のため、かなり遠くに見えていたが案外あっさり到着した。

開いた城門には警備員が立っており、中には大勢の人が見えた。

いったい何人いるんだ。5、600人はいそうだな。これだけいて合格者でないこともあるってどういうことなんだ。

 

 

ドンッ

 

突然ぶつかられた。

 

「チッ、こんなとこに突っ立ってんじゃねぇよ。」

 

全身黒づくめの20代くらいの男がこちらを睨み舌打ちをする。細身だが、身長は180センチくらいあるか?髪の毛がグネグネしており、前髪は鼻にかかるくらい長い。てか目つき悪すぎ。

 

「あっと、すみません。ボーっとしてました。」

 

「邪魔だっつーの。とっととどけよ。」

 

もう1度舌打ちをしてから男は城内に入っていった。

 

おいおいおい、あんなんが王に仕えていいんすかぁ?とっちめてやりましょうかぁ?

自分にはそんな勇気も力もないのだが。

 

ざらっとした気持ちになりながら、試験の受付に足を運ぶ。

ステータス情報を受付で読み取ってもらい、左胸に魔法で【449】という受付番号の数字を刻まれた。

周りを見ると、みんな様々な数字が刻まれていることに気付いた。

 

試験開始まで城内をぶらぶらしていると、先ほどのグネグネ頭の姿がちらりと見えた。左胸には【428】と刻まれている。

 

見つからないようにそろりとその場をあとにする。すると、

 

『試験を受ける皆様、お待たせいたしました。時間になりましたので大広間にお集まりください。』

 

とアナウンスが流れた。せかせかと大広間へ向かう。

 

600人ほどが1つの部屋に集まった。

 

「それでは、試験の概要を説明する。」

 

聞き覚えのある声が、大広間の奥から聞こえてきた。

おぉやら、まじかやら、歓声が聞こえてくる。

あれって、アレクか?

 

「試験は戦士と魔法使いに分かれて行う。成績を総合して優秀だった者を正式に王の軍として歓迎する。」

 

アレクがそう話すと、おおぉぉという歓声があがった。

 

今更だけど、アレクってやっぱりすごい人だったのか。

 

アレクのすごさを改めて感じながら、俺の人生をかけた大勝負が始まった。

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