俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!?

~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~
白野 ケイ
白野 ケイ

落ちる落ちる落ちる

公開日時: 2022年2月8日(火) 12:55
文字数:785

俺も帰るか。まだ数人残っている夕焼けに照らされた放課後の教室を出た。

 

校舎から出ると、1、2、ファイオーっという運動部の掛け声がグラウンドから聞こえてくる。

この暑い中よく頑張るなぁ。ミンミンと鳴き続ける蝉の声と合わさって、9月だというのにやけに今日は蒸し暑く感じた。

 

「あっちぃな」

 

ボソッと声にしていることに、少し遅れてから気がついた。

 

遠くでゆらゆらと陽炎が揺れているのが見える。今まで見たことがないくらいに鮮明にコンクリートに広がっていた。心なしか、その陽炎が徐々に徐々に大きく、近づいているような気がする。

 

「やばいな、錯覚を起こすくらい俺は暑さにやられてるのか。」

 

少し焦りを感じ、急いで家に帰ろうと早足になる。が、それが錯覚ではないと確信したのは足元を見た瞬間だった。

 

「なんだよ、これ..」

 

紛れもなく、足元に青空が広がっていた。先ほどまで陽炎だと思っていたそれは自分の足元にまで伸び、まるでコンクリートを淀みのない鏡にしたかのように鮮やかな青空を映していた。

 

「空の上に、立ってるのか..?」

 

そう錯覚せずにはいられなかった。

よく見ると、自分を中心にコンクリート半径2メートルほどのきれいな円だけが青空に変貌を遂げていた。

 

パニックになり尻餅をついた。

とっさについた右の手のひらに固いものがあたり、痛みが走る。コンクリートの石でも刺さったか。

 

慌てて右手を見ると、透明な、あまりにも透明な5センチほどの星形のネックレスが握られていた。厚みも1センチほどはあるだろうか。

そのネックレスから妙な力を感じ、スッと冷静になった。精巧に出来すぎてはしないか?ガラスとも宝石とも違うような.. 本当にこの世界のものか?

 

その瞬間、ネックレスから発生したまばゆい光で視界を奪われながら、恐ろしいほどの浮遊感に襲われた。

 

どこかへ落ちている!?

 

 

徐々に体全体を光に包まれながら、意識を失っていった---

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