叛撃のKGU

郷土研究会戦記皇學館異聞見聞録
JULIUS
JULIUS

第Ⅱ部叛撃の皇帝の王冠(Gegenangriff Imperial Crown)

第Ⅱ部叛撃の皇帝の王冠(Gegenangriff Imperial Crown)

公開日時: 2020年9月9日(水) 09:00
文字数:11,726

第Ⅱ部叛撃の皇帝の王冠(Gegenangriff Imperial Crown)

第一部から十五年後だが、その間天神幽華達郷土研究会は生きて居た理由として、友禅と五賢帝が大きい。

これは彼ら十五年も前に何をしていたのかを述べてから次世代にバトンタッチしよう。

天照暦22年4月

カオルの影響により世界が崩壊した模様は酷く全てが荒れていた。

友禅が来たのは崩壊から三日後のことだった。

友禅は取り敢えず時空のCODEで十一人の捜索とKGU全体の伊勢市や三重県を出来るだけ戻した。友禅も負傷した早々にCODEで戻した。

「時空占守略決(Zeitliche Zhanshouluejue )網(Netzwerk)・皇帝の時間(Zeit des Kaisers)」

KGUの時間を戻した。

崩れた大地に海中から隆起した山に小高い丘にKGUが再建された。

築かれた島に丘を造り兵陵地帯に塀で囲んだ。

新しく出来た倉田島内に中学校も出来て、周りに教会・礼拝堂・寺社仏閣・墓地・霊園等々最初の十三日間で仕上げた。

「これで良いだろう。エンペラー」

「サンキューな。友禅。アイツら生きてるいのか?」

「そりゃ、信じてみねぇと分からねぇや」

エンペラーは黒いコートを着て金の懐中時計をぶら下げながら新しく出来たKGUに感心するが、現を抜かすが他の四人と甜歌が来た。

「友禅?拾い者だよ。」

縄に縛られボロボロの服を着て四人拘束した。

KGUの為に動き働き武功を上げて臨時の体制を作り替える期間内に長島・榊原・森・禅十朗がKGU内の築城を任された。

「俺達生きているのだよな。将司殿に会いたいな・・・」

「勿論だ。あの戦の出来事今でも脳裏に浮かぶ。なぁ、森?」

「今はこうして城を造ろう」

森は無精髭に黒コートを着てKGUの北側に城を築かせた。

「倉田城の完成だ。徹底的防衛機能を備えた城だ。今日で三週間も経った。カオルはどこに居る。見つけたら仇でも討つ」

「バカな真似は止せ。」

甜歌が森の肩を叩く。

甜歌も家族が心配だが、龍纖・禅十朗・淳親三人がモニタールームでの情報を元手に捜索していた。

如何せんカオルのCODEにより世界は修復不可能宇宙でも損傷を受けてアーカイブに支障をきたした。

十一人は世界のどこで生きてるいのか、死んでいるのかも龍纖は諦めずに探した。そして、捜索開始から五日後の朝方事態が動いた。

「おっ?えっ?おおっ!ジーザス。ジーザス。ジーザアアアアッス!見つけたぞ。全員生きているみたいだ。良かったわ・・・・」

龍纖が見つけたのはここから50km近くも離れている孤島に生きて居ること言うことだ。

龍纖の知らせを受けて森・長島・榊を派遣した。

「将司殿にもお会いになる!」

「皆さん生きて居て良かったです。」

「すぐに出発だ。船を出す。」

船舶免許を持つ長島は家の存続も考えていた。

大手企業長島重工業の未来が風前の灯火で長島甲子太郎はタバコを吸い船場に二人乗り込んだ。

KGUの桟橋に甜歌も来た。

「御前達じゃ何かトラブっても使えないクズだろう?三バカのクズに私が手を貸す。もう・・・」

甜歌は煙管を銜えてKGUの新体制のマニュアルでも捲っていた。

(この三人を引き連れるのはまだ速い。)

孤島は伊勢湾の外れに太平洋沖に浮かぶ孤島にそこは断崖絶壁で深い霧が覆われていた。

十一人はこの孤島で自炊の生活を送っていた。

「幽華?幽華?幽華?毎日魚一匹じゃ飽きるわ~」

「文句言うなら喰うなよ。白宮」

魚が釣れずに幽華は黒いコートを着て葉っぱを纏い土砂降りが続く中での幽華と白宮は岸で魚釣りと素潜りをしていた。

孤島周辺は多様多種魚や大型魚類が確認される。

白宮は素潜りの為に氷の矢を数本創った。

「氷結槍(Gun Icy)・魚殺し(pesce uccisione)」

魚を捕らえる槍を造り幽華は槍を手にして翠の焔が纏った。

「暴食槍魚梶丸(Pillola Gluttony marlin Kaji)喰い(mangiare)」

幽華は天を仰いだ。

この世界は漆黒に染まり無いはずの世界が存在した。

カオルがこの世界に存在させたのが《魂の監獄(Prigione dell'anima)》二度と出られずに魂だけが朽ち果てる監獄が浮かんでいた。

髑髏の岩壁に壁が血に滲み滲みていた。

監獄は全長6000m六芒星の形をした異形な物体がこの世界に浮かんでいる。

多くの者や罪人が辿る場所であり、地獄を再現している噂を聞く。

幽華が居る孤島にも浮かんで見える。

(いつ入るのだろうな。万が一だけでも妻や子だけでも護れないと)

その頃将司は木材と島の材料だけで家を造っていた。

「脩爾殿!琥御架殿!シエル殿!蒼空殿!重たい荷物は某に任せて、軽い荷物をここに束ねてくれれば良い。早く家でも造らんと困るからな。」

髷を切り落としてロン毛の侍で無精髭が目立ち女達を指示させていると船着き場に、長島達が上陸した。

「殿!殿!殿!殿!殿!殿!」

連呼する森に甜歌がハリセンツッコミで頭を叩いた。

「痛っ!」

森は反省するが生い茂るジャングルをかき分けるのが面倒くさくて甜歌が凍らせた。

「氷塊神・氷海(Cubetti di ghiaccio Dio)」

甜歌が島全体を凍らせた。

「やり過ぎですよ。甜歌さんってば!」

榊原が止めると榊原は義手を換えた。

機械鎧製の右腕と左足で、榊原の出身は菰野藩でも尾髙高原の榊原村の出身で幼くして将司との付き合いが良い。

「殿~殿~殿が居ます」

小太刀を握りしめて前に進むと視界が広がる先にはログハウスが建っていた。

「バカ野郎大声を出すな。」

出てきたのは将司だった。

「誰か来たの?ね?」

「琥御架殿心配ご無用。某の家臣でありまする森治部将瀬不李亞殿に榊原弾正刑虎殿に長島重工業初代創始者の長島益盛であろう。ははははっ!甜歌様」

甜歌が着き一礼した。

「甜歌様!」

「よっちゃんですな。お前らをどれだけくまなく探した事やら。龍纖の野郎に礼を言えよ。コイツらも一ヶ月のスパルタカスの特殊訓練でだいぶ戦力になる」

「はっ!」

将司はログハウスから顔を出した。

孤島周辺は海域が混乱で最大の難所。

上空には、カオルが創造させた世界規模最大最凶の監獄《魂の監獄》が接近していた。

ゴツゴツとした外壁に巨砲の数々に髑髏が吊るされていた。

「お前らをここからKGUに連れ返すのが今回の仕事だ。」

「殿戻りましょう!」

「殿!」

「殿お戻り下さい!」

心配する森と長島と榊原に将司は照れていた。

その側で心配そうに脩爾が刀を構えていた。

女性陣は事務作業とインテリア班に別れて作業していた。

「呼ばれて飛び出せ!ジャジャジャーン。甜歌様もお茶どうぞ」

琥御架がログハウスの竈から島の草を抽出させて煮たビールを出した。

「プハアァ~超絶最高級のお・も・て・な・し。おもてなっしー!」

甜歌がビールを飲み椅子に座っているとレインコートを着た白宮と幽華が帰ってきた。

「あっ。どうも。どうも」

「どうも。どうもじゃねぇよ!マジ面倒させやがって、お前らの身元と身分は保障する。」

「え?」

思わず聞き返した幽華に甜歌が鞄から取り出した誓約書と書類と契約書と印鑑とヴァチカンからの渡航証とパスポートを手渡して十一人の生存確認後にログハウスの一階のラウンジに集められて円卓に腰を下ろした。

「で?で?話しよ」

幽華が水を飲み何があったのかを説明した。

「一ヶ月前のことだが、カオルの世界崩壊を受けて俺達はこの島に流れ着いた。それからというものの自炊の生活が続きサバイバル生活で情報が無いのはその訳だ。幸いにも俺達は、生き延びた。命だけでもな」

幽華は水を飲み契約書にサインした。

「ここに居るお前らも告ぐ!ヴァチカン総攻撃に郷土研究会も加われ。カオルの軍勢とアソコを攻められれば打つ手すら消える。既に森と長島と榊原と将司だっけ?菰野藩総出の出陣で喚起士気高まっている。まぁーさ、好きにしろよ」

甜歌が円卓を離れて外に居る三人を呼び寄せて将司に面通しさせた。

「殿!我等も御出陣致しましょう!」

「そうでございます。ヴァチカンを奪われれば世界の均衡はひっくり返る程の勢力が変わります。我等菰野藩が生き残る道は唯々唯々一つ!KGUに御味方と加勢を!」

「うん。うん。うん。ん~分かった。俺も行く」

目を瞑り覇気を感じさせた。

菰野藩の武士として来月からヴァチカンに出向いた。

「流石、殿!殿!殿!殿!殿!」

森が感涙した。

「泣くなよ。お前ら俺が居るだけで死なせはしない」

カチッと鞘を抜きその刃を向けた。

「良くやるわね。こんな状況でさ」

シエルは老けていた。

落ちぶれていた。

あの出来事以降歳を取りシエルは酒を飲みながらも契約書にサインした。

「再雇用だろ?KGUの?え?ハハハハハハハハハ」

シエルはログハウスの作業場で武器製造の製作をしていた。

武器庫には武器を収容してシエルは、CODEを失いやけ酒を繰り返していた。

「ん?私は平気よ。どっちみちあの世に逝くのが早まるだけ。」

「シエル?御前さんの身を案じてここから去れ!」

「今生の別れゼヨ」

シエルは消息不明になった。

将司は連伴書に血印して菰野藩に帰郷した。

直美を連れて故郷に居る煌寿丸(後の土方綾将)を見に戻るが、KGUの友禅が菰野藩に来て父親の龍艶も同席していた。

白宮と甜歌それ以外の者はKGUに帰り五賢帝が学長室のソファーに座っていた。

「おかえり」

「おう、ああ。ただいま」

禅十朗がこの時は学長であったが既にエンペラーに一任した。

「エンペラーに職を譲る話しで相違ない。なぁ。カオルがこの世界を完全に手を支配する日が近い。そうならざる前に手を打つ。その為に御尽力なさりたい」

禅十朗が頭を下げて白装束で小太刀を握りしめていた。

「分かっているよ。七人だ。勇猛果敢歴戦の七雄を倅に任せる。」

「え?俺に?マジで言っているのかよ!」

「ああ。そうじゃ」

エンペラーは幽華に任せた。

「俺は天神幽で学長に就任する。此度はエンペラー頼む」

「はっ!」

この日から俺はエンペラーとなった。

天照暦23年

一年後ヴァチカン・サン・ピエトロ大聖堂内

郷土研究会の七人がカオルの軍と戦っていた。

「チッ(Chip )、これでは敵が多すぎる!(il nemico è troppo in questo)」

「教皇様お下がり下さい(Si prega di la tua Santo Padre)。」

黒コートでエンペラーが聖堂内に蒼い焔と紅い焔が燃え上がりカオルの軍の兵隊達と全面的にぶつかり合っていた。

「ハハハハハハハハハハハハハハ!」

カオルは嗤っていた。

その前年に菰野藩から市制に変わり菰野市となって最初の年に将司は初代市長になり、菰野市の家庭に生まれた幼児が拉致されたと耳に入った。

早速だが、将司と脩爾は菰野城での謁見に応じた。

「私共の娘が・・・娘が・・・娘が・・・・浚われた!あああっ」

「面を上げよ」

将司が応じると娘の親族が泣きながら縋りついていた。

「どうしんだよ。俺に用があってのことだろ?」

「はっ!申一週間前に生まれた娘のことですが、親諸共斬られて死んでしまい娘である瑤子が・・・瑤子が・・・カオルの手先に・・・・ああああああっ!」

泣きじゃくる親族に将司が手を触れた。

「御免申しまする。某はCODEである。だが、案ずるな如し娘は助ける。なぁ。しかし娘を浚うとは卑怯な輩だ・・・・」

「アナタ?殿?将司。大丈夫?娘のことは心配」

「おうおうおう。」

親族は下がり礼をした。

菰野城の五階では最先端情報科学センターに入り分析を急がしていた。

殺されたのは、菰野市五摂家の村上家の村上武幸・ゆきのであった。

長男の村上清浄(新五)殿は現在ヴァチカン総攻撃の出向き不在。

娘の瑤子が浚われた。

「湯川!手塚!大迫!宮迫!白川!諸岡!某が命じる出陣前に仕事だ。誰が遣ったかくらい調べろ。分かったら俺に報告連絡相談の三点。ほうれんそうだああっ!」

将司の怒号が飛び散り分析室にピリッとするが、七人が一斉にパソコン・タブレット・スマホ・ケータイの情報分析を進めていた。

全員髷を切り落として西洋式の服装に着替えてカチカチカチカチカチカチと打ち込んでいた。

「某は大義に非ずと思う。今の俺を拾ってくれたのは殿だ。」

「それな。こうして新たしい就職先の天下り先を直々に殿が我等に勧めてくれたこと自体嬉しい限りだ。」

「ホンマや。こんな俺でも殿には有り余る恩がある。」

諸岡天獄と湯川村正と手塚陵が話す。

将司は音楽を聴いていた。ベートベンの第九を聴きながら脩爾の膝に寝ていた。

「珍しいわね?膝枕なんて?気持ちが落ち着かない刻よアナタ?」

「え?気付かなかったな。御前の子に恵まれたのは俺で家臣は菰野市の民はタカラだ。」

天守閣から眺める四日市の海と山。

荒れた瓦礫の山に将司は刀を抜いた。

「人は鬼にもなる。鬼は覇を纏い剣鬼も纏う。鬼覇となる」

「はい。お爺さまのお言葉。」

「脩爾?修羅の険しき棘の邪道だが、突き進み俺を支えて欲しい。俺は御前が必要だ。他の女に興味が無い。無いのだ。御前の処女を奪った時から時は俺に御前を幸せにする。御前の子は俺が育てる。」

脩爾は黒のドレスを着て紅い刺繍のコートを着ていた。

膝枕から起き上がりワインを飲んでいると、諸岡が天守閣に走り急いで知らせた。

「申し上げます!申し上げます!申し上げます!殿!殿!殿!殿!殿!!」

「何だ?分かったのかよ?誰が遣ったのか?」

「はい・・・お手前の手先の名を藪内剣星と申します。」

「藪内か。」

湯川が来て藪内の情報を届けに来た。

「犯人は藪内剣星。藪内エレクトロニック・マシーナリー興業の御曹司だな。斬った刃渡りから使用されたのは妖刀神姫丸だ。村上一族は没落。菰野市史上最悪の事件です。」

「・・・・・・ああ」

その目は人斬りの目で、手で触れた空気で花瓶を切った。

家臣一同その姿に愕いていた。

将司は鞘に刀を納めて直ちに出陣した。

「今からヴァチカン攻めに行く。お前らの命俺に預けろ。決して死なせぬつもりも無い全員菰野に帰ってこようぜ。女や子供や老人には手を出すな。寧ろ、手を差し伸べろ!良いな?武士道の精神は死なすな、殺すな。俺は菰野の王だ!この剣で敵を斬る。」

「おおおう!殿!」

「殿!」

「殿!殿!参りましょう」

家臣一同がまとまり将司は黒いコートに袖を通して菰野から大型船舶が停泊していた。

ヴァチカン行きのパスポートに将司達家臣一同が乗り込んだ。

「脩爾!行ってくるわ~」

「親父!ここを任せたわ~」

「煌寿丸ッ!父さん行ってくるわ~」

「バブーバブーブーブーブーウウウウッアアアアワアワッ!」

煌寿丸を抱き上げる脩爾に龍艶は見送った。

「ハハハハハハハハハハハハハハ・・・・家族を護る為のお父さんだから気が気でない、気が抜けないな・・・・俺は故郷の為に剣で斬る。」

船まで六十日間も約二ヶ月間は移動してその間は修行に励んだ。

「そう言えば、諸岡?妹さん元気か?」

「悪いな。今年は不毛作で農耕不信で作物が育たないからな・・・御免」

「謝らないで下さいよ。殿・・」

諸岡天獄は二十代前半の青年で長い黒髪に槍の名手。

槍裁きの達人で、将司とは古い付き合いで従兄の存在。

湯川は船の鍛冶職場で剣を打ち直していた。

(ヴァチカンでのこと考えたら殊更俺しか武器創れないからな・・・フッ)

湯川は全員分の武器を打ち直していた。

「殿の場合は長年愛用なさる名刀中の名刀菰野藩当初の抜刀。村正。俺が創ってやる。誰もが愕き誰もが俺を認めるような作品が頭の中に浮かび上がってくる。正にアーティスト!ジーザス!」

湯川は作業着に着替えて船の底にある部屋に籠もりひたすら打ち続けた。

「手塚?」

「何でしょうか?殿?」

「いや・・いやおや・・・言うのであれなのだけどキリスト教に改宗した?え?」

「はっ!はっい!えぇ・・」

手塚陵はキリスト教に改宗して洗礼も受けた。

「洗礼の名前って何?」

「ジュリアスです。ジュリアス・レイヴェルトラント卿(Julius Ray Strand Sir Vel)と申します。殿」

「だから御前毎週末の日曜日菰野城の地下の教会でミサしていたのだな~」

将司は気付いていた。

手塚は戦乱の世に改宗して十字架を手にして、相変わらず手塚は双剣の達人で双剣一筋だ。

ヴァチカンに着くと、其処は想像を絶していた。

二ヶ月遅く着いた時には陥落寸前で多くの修道士等が横たわっていた。

友禅が来た。

いなりも居た。

「アホンダラ!ド阿保!おせぇーぞ」

いなりに叱られた。

エンペラーである幽華は弾息を吐いていた。

聖堂内では救護者の続出で兵の喪失。

白宮は甜歌と居た。

兄の占守は亜理寿との間に三人の子を設けた。

「長男の潮。長女の友。次男の占牙の三人だ。お袋」

占守が家族の写真を眺めていた。

白宮は結婚とかも頷くだけであった。

「次の一手は?」

「さぁ。人数の確認を頼む。カオルが奴隷として捕虜として人間を犯しまくりだったら何とか手を打つ。」

陣構えを聖堂内の一室を借りて白宮と甜歌と占守も策を練っていた。

エンペラーが慌ただしく聖堂内に来て、教皇は狼狽してタバコを吸っていた。

三ヶ月間も硬直状態が続き苛立っていた。

「遅くなって申し訳ないな。俺が馳せ参じる。」

将司が刀を構えながらシスティーナ礼拝堂に居る藪内剣星とぶっつかった。

「菰野抜刀術鬼覇“鬼天千本松龍翔”」

刀を抜くと左足で踏み込みフラスコ画を壁蹴り回して刀を垂直に刃を逆手に持ち替えて鞘と小太刀を手にして藪内は大剣で押さえ込んだ。

「甘いな。殿様よ!ガハッ!」

藪内は大剣を構えて将司は刀で火花散らすが、刀が折られて右肩に重く大剣が骨も砕き肩を斬られた。

将司はやむなく下がった。

(藪内は荒手の遣いや。カオル・・・こんまま・・陥落を見届け?)

この状況が四年も続いた。

天照暦26年7月

ヴァチカンで動きが見えた。

事態が動いたのが急な展開であった。

CODEの疲労困憊と兵糧が尽き聖堂内は荒れていた。

エンペラーは近くの土地に墓を建てた。

「安からに眠れよ。魂は天に召されよ。神の祝福にあらんことを」

十字を切りキリストに祈りを捧げて墓には全員名前を刻まれた。

教皇は降服した。

多くの菰野武士がこの戦で命を散った。

彼らの痛い遺品整理は将司が手続きをしていた。

サン・ピエトロ大聖堂内の教会の地下で火葬をした。

「湯川・・・手塚・・・白川・・・大迫・・・宮迫・・・・御免。御免。御免。御免。御免。御免。御免。御免。御免。御免よ・・・俺が強かったらこの腕で・・・」

懺悔をしてヴァチカンを後にした。

「いなり?悪い。俺には似合わないよ。エンペラー元の天神幽華の方が気楽で遣れる」

「そ、そう・・・」

「教皇がえらく心配だ。」

「私達はここに残るわ。」

手を振りいなりと白宮はその後戦後処理を請負としてヴァチカン領土の半分はカオルが手にした。カオルはこの世界に更なる進撃を続けた。

天照暦27年

天神幽華はカオルに捕まり魂の監獄の最下層に天照暦37年までに幽閉されていた。

漆黒の牢獄に鎖に繋がれ髪はボサボサで長く伸びて髭も伸びて窶れた姿に、垂れ下がった皮膚に骨と皮の存在に幽華はこの牢獄で生き抜いた。

天照暦37年3月10日

十五年が過ぎた現在。

魂の監獄の外では、KGUのCODEとカオル達神の者の戦いが続いていた。

鳴り響く轟音に牢獄からは血がにじみ出る。

幽華は意識すら遠く寝込んでいた。

その頃牢獄内に侵入して幽華を探していたのは、いなりだった。

いなりも三十(アラサー《アラウンド・サーティンの略》)を超えて大人の色気がある女性に成長して幽華を探していた。

ここ数十年間事実上俺達は表から姿を消した。

多くの仲間や同志も死んでいった。

後からでも良いので、墓を造りたいと切に思った。

暗い牢獄の中で鼠・ムカデ・ヤモリ&イモリ・死体・骸骨・モンスター・触手等も罪人を食らいつく貪り食う地獄のような環境で俺は幽閉された。

魂の監獄はこの世界に存在すら無いが、どのようにして場所を突き止めたかと思うと・・・俺は分からない。

いなり達が、俺を思いKGUを動かせた。

五賢帝が引退してKGUの経営に携わる時に、友禅の協力を煽りにかつての生き残ったメンバーが賛同したわけだ。

翌日

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・ハハァ・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ァアッ!」

鎖を外そうとする俺に近くに居た男が声をかけた。

「アンタも大丈夫か?生きてるいのならマシだ・・・」

「誰だ?」

「俺が王だ。崇めよ!拝めよ!クロド・ローヴェルト(Kurodo niedrigem Kopf WELT )ッツアーノ卿(Tour Roh Sir)だ。」

「は?」

「無理も無い。俺はアンタを知っている。アンタ名は?」

「天神・・・幽華・・・CODE・・・さ」

黒コートに長く床まで伸びた黒い髪と髭に頬が垂れ下がり目の上に澳が出来ていた。

雨戸の水を飲み凌ぎ監獄生活でほぼ死んでいた。

(CODE)

頭が痛んできた。

床に藁を敷き寝込んでいると物音が聞こえた。

「誰だ!」

全員叫んだ。

「よっ、罪人共よ。助けに来たぞ。哀れな魂に天照の救世を!」

衝撃波で檻が壊れて罪人共が響めき階段に向かって走り出した。

幽華はホッとしたのか口で鎖を契り歩き出した。

今まで温存してきた力の解放と爆発で、長い間牢獄の視野で暗く霞んで見えるが、ゆっくり深呼吸した。

「天照魔神黒焔(Amaterasu Teufel schwarz Yan)蒼覇(Ba Cang)焔神剣(Votiv-Schwert der Flamme)ッ!DT解除」

サタンの焔とベルフェゴールの焔とアスモデウスの焔三色の焔を纏い背丈以上の大剣を握りしめた。

十字架の型をした十字剣で焔を媒介に変化する。

しかし、衰えた体力に意識が無い中での戦いは無理も禁物だった。

暗い牢獄に光が差し込む。

「アンタ!ヘッ。そん気なら俺も行くぜ!」

同じくクロドが立ち上がった。

「CODE解除。俺に力を貸せ!水の力よ・・・・」

クロドは水を自在に操る者。故に木片で浮かんでいた。

「大洪水!海竜鉄爪(Hochwasser Hainengtiezhua)」

魂の監獄内部からの攻撃に隙間が出来てクロドと幽華は外に出た。

稲荷も外に出ると、合図をした将司・脩爾・琥御架・白宮・甜歌・友禅が一斉攻撃に総攻めとして、魂の監獄に押し寄せて所長であるマスターの秋川絶望が処置を行った。

全員十五年間も歳を取り大人に成長した面々にハイタッチして大量の太陽と光を浴びて、幽華は立ち直った。

天照暦37年3月13日

郷土研究会再結集と天神幽華魂の監獄からの脱出。

三十五歳の幽華はエンペラーに似てきた。

十五年前学生の頃はどこか青年だったが今となっては老けて大人になっていた。

「EVERYONE、待たせたな。今度こそ俺達の番だ。人類の底地から見せてやるか」

この十年以上も監獄生活を送っていたが、DTを習得していた。

更には束縛式も取得。

CODEを具現化併せて自ら同期同化させる事に結びついた。

「ベルフェゴール・束縛式・サタンDT・地獄の王冠の皇帝(Hölle Voll Kaiserkrone)“魔神天照(Amaterasu Teufel)地獄千乱(Hölle tausend Chaos)天罪剣(Tage sin Schwert)”」

恐怖の畏敬の概念と黒コートから黒焔を纏い千の剣が宙に浮かんでいた。

罪人の魂の分だけを焔に変えて媒介併せてゆっくり牢獄内に足を踏み込む。

「裁くのは俺だ!」

声を張ると静まりかえった。

「皇帝・・・」

跪く罪人に幽華は許しを得た。

「全員失せろ。ここから俺の番だ。邪魔立て容赦はしない。」

「撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!」

銃が乱射する看守に白宮と甜歌の親子のコンビが全てを凍らせて全てを瞬殺した。

「氷逆鱗!(Ice Ni Lin)氷神乱撃(Eis-Chaos Gott Shock)雹剣(Hagel Schwert )斬鬼(Dämon zu töten)天氷(Ice Tage)!親子MIXVer00096」

ザッバババババババババンズッココココココン!と轟音と氷が全ての銃弾を凍らせて看守も冷凍付けにされて氷の剣で斬られて砕け散った。

親子のコンビタイミングを合わせて、看守は氷漬けで倒した。

「簡単なことだよ」

白宮は以前150cmであったが、十五年後は187cmに成長を見せて長身に銀髪で、肌は白く黒コートに白いスーツ姿だった。

甜歌は階段を上がると、ドンドンドンと物音が聞こえて、振り向くと麻衣を着て大剣と銃の女性が膝をつき壁に横たわっていた。

「瑤子殿!瑤子殿!瑤子殿!瑤子殿!瑤子・・・」

「将司様・・・将司様・・・将司様・・・うわああああああああああああああああああっん!兄上が・・・兄上が・・・・兄上が・・・・・兄上・・・」

膝の上で血の気引いた蒼白の顔でボロボロの甲冑姿で折れた刀に酷い傷痕の男が抱えていた。

将司が男に手を合わせて瑤子の手を引っ張った。

「新五殿の死を仇は俺が討つ。藪内か・・・瑤子?師匠の言うことは聞いてくれないか?御前の腕前は急激に成長した。菰野に帰っていろ。」

「は・・・は・・・はぁ・・は・・・はい」

瑤子は麻衣を着て外から海に飛び込んだ。

「行こう」

将司は悲しそうな顔で進んだ。

階段を進んでいくと看守達が弓矢を構えていた。

剣・盾・槍・斧などの看守に監獄の副所長久我久世命がタバコを吸いミントビール・オレンジビールを飲みながら琥御架が純白の白き翼と黒き翼で立ち止まった。

「そう簡単に逃すとでも思う?」

「アンナカ?ヘッ。遣れるものなら遣ってみやがれ!アマッ!」

「天神天空の(Volle Himmelsgott)神武術(god of Martial Arts)」

集中して拳に覇気を纏い一撃×十五発鋼鐵よりも貫き鋼よりも硬く龍の鱗のような堅さと蒼い焔の纏い拳が連発して久世命は吹き飛ばされた。

壁が凹み、外壁が爆発。

破壊の一撃に、拳と足蹴りと壁蹴りで琥御架は武術も磨いた。

(これは如何せん。CODE解除)

久世命が毒の躰で毒が監獄を覆った。

「生きて帰れると思うなよ。俺は全身毒人間だ。猛毒だ。誰一人生きて帰せると思うなよ。骨ですら焼け溶ける。ガハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

久我久世命は中年男性で毒のCODEを持つ。

ボサボサの黒髪に黒コートに革ブーツで袴姿の男性が瓶を持ちながら幽華を見ていた。

「天神幽華!カオルから逃れると思うなよ。お前はこの十五年もココの家族だ。大人しくココで死ね・・・死ね・・・・死ね・・・死ね・・・・死ね・・・・死ね。」

「断る。」

幽華は断り天罪剣を握りしめて監獄の檻を斬り、監獄自体を斬った。

七つの焔が全体を囲み監獄が燃え上がった。

久世命の窮地に所長とオーナーが出てきた。

「目的は所長の首とオーナーの首。グッドタイミング」

将司が鞘を納めた。

「こんなタイミングで現れるなんて探す手間省けてサッサとミッション終わらせて家に帰りましょう。」

脩爾が剣を抜く。

重力で監獄全体が浮かび脩爾の刃が天を翳し漆黒の蒼空から隕石の襲来で監獄が半壊して風穴から潮風を感じる。

将司は魂を刀に変えた。

「菰野抜刀術(Komono Unterlassung Breitschwe)天照百式(Amaterasu hundert-Stil)鬼覇(Ghost-Pa)“鬼天魔天照(Amaterasu Geister Dämonen)龍天神(Drachengott)”」

左足で踏み込んで裁いた衝撃の空間を歪ませて急速な圧力で物理的時間を戻させて十九連撃・剣戟による剣を捌いた衝撃で対象者を捉えて監獄全体を戻させて空間が歪み照らされて所長とオーナーは剣で叩き斬られた。

逆手に持ち変えて相手を押し上げて二十五回の超神速光速の抜刀術が誰であろうと一撃でその刃で討ち取る菰野家代々の最凶の究極技。

将司は、十五年間誰も目の前で死なせない覚悟と思いで黙々と修行を重ねて、漸く成功した。

将司は静かに鞘に納めた。

「ぐううううはっ!」

所長とオーナーの首を討ち取り、KGUに戻った。

天照暦37年3月17日

KGUに久々に帰ってきた。

天神幽華と琥御架は再会した。

「カオルはあれから姿を見せなかった。俺は長らく幽閉の身であったが、琥御架と幽禅に会えただけでも嬉しいさ。本当に」

幽華は黒コートを着て左頬に十字傷と手の甲には地獄のCODEと天のCODEと神のCODEの三つを宿す痣が発症したのを隠すのに黒コートに黒のローブで隠してある。

「それよりも父さん心配したのだ」

幽禅だ。

今年中学を出る。

幽禅は両親のDNAを継ぎ顔が琥御架に似て体付きや、性格は幽華に似て息子の躰には二つのCODEが流れている。

いつ目覚めるのかが心配であるが、息子は普通に生活していた。

*天神幽禅の(Voll Götter ruhig Zen)物語になるとは(Um die Geschichte zu)知らずに(Ohne es zu wissen)・・・・

その後倉田島の小高い兵陵部分に自分の家に帰り、暮らしていた。

第Ⅱ部はココから始まる。

これは天神家とカオルの血の宿命である。

息子天神幽禅の長く険しく辛い道のりが始まるとしている。


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