【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

957話 マジックアーム付きゴーレム

公開日時: 2023年3月11日(土) 12:11
文字数:2,513

 タカシvsミティ&アイリス。

 当初のタカシは自信満々だった。

 しかし、時魔法の切れ目を狙った『ミティ・バスター』が炸裂したことで流れが変わる。

 その後はミティとアイリスの猛攻が続き、徐々に点差を広げられてしまう。


「おぉ……。ミティ=バーヘイルはなかなかの実力ですね。剛腕と器用さが合わさると、こうも凄まじいとは……」


「器用と言えば、アイリスちゃんもだよね~。あんな変化球をコースにバシバシ決めるなんて~」


 観戦者のリッカとフレンダがそんなことを呟く。

 タカシがいくら経験者であり強くとも、1対2で勝てるほど甘い相手ではなかったのだ。

 しかし、タカシも諦めずに奮戦する。


「くっ……。流れを引き戻さないと……!」


 タカシが汗だくになりながらも闘志を燃やす。

 彼は集中していた。

 コースの隅へ、的確にコントロールした球を打つ。


(よしっ! いいコースだ! 次にボールが返ってきたら、緩いボールを返してゆさぶりを――)


 そんなことを考えていた彼だったが――


「攻めるの遅いよ」


 アイリスの言葉と共に、緩い球が返ってくる。

 それは絶妙な回転が掛けられており、ネット際にポトリと落とされた。


(しまった!)


 気付いた時にはもう遅い。

 ボールは低くバウンドし、卓球台の上を転がった。

 相手のポイントである。


「ナイスなドロップショットですね。アイリスさん」


「ふふっ。それほどでもないよー。でもさ、やっぱり1対2じゃ厳しいよね」


 そう言いながら笑う彼女の表情は、どこか楽しげでもある。

 対するタカシはというと――


「……ふふふ。はっはっはっ!」


 高らかに笑い出した。

 そんな彼の様子を見て、ミティたちは少し警戒を強める。

 何か仕掛けてくるのではないかと思ったのだ。


「確かに1対2ではキツそうだ……。だが――」


 そこで言葉を区切るタカシ。

 そして――


「俺にはまだ奥の手がある!!」


 そう叫ぶと同時に、ミティたちの背後に影が現れる。


「こ、これは!?」


「いったいなんなの!?」


 2人が驚愕する中、その影の正体が明らかになる。

 そこにいたのは――


「やぁ、来たんだよ。男爵さん」


「来てくれたか、ネフィ」


 ハイブリッジ男爵家の御用達魔導技師、ジェイネフェリアであった。

 突然の乱入者に驚きつつも、ミティは尋ねる。


「どうしてあなたがここに……?」


「アダマンタイトの巨石をミティさんがどかした後、僕はリンドウの街内に帰ったんだよ。でも、せっかくだから温泉旅館に泊まっていくことにしたんだよ。そしたら、アビーさん経由で男爵さんに呼ばれたから、ここに来たんだよ」


 そういうことだったのかと納得するミティ。

 すると今度はアイリスから質問が出る。


「ええっと。後ろのそれは何なの? 魔道具か何か?」


「そうなんだよ。男爵さんの指示で作った、『マジックアーム付きゴーレム』なんだよ」


 自慢げに語るジェイネフェリア。

 彼女が作ったのは、巨大な機械人形だ。

 本体部分は人間ほどの大きさがあり、関節部分などに複数の魔動部品が組み込まれている。


「ふふふ。それがあれば、この卓球試合でも俺が負けることはないだろう!」


 得意げに言うタカシ。

 そんな彼に、ジェイネフェリアは告げる。


「それじゃあ、そろそろ起動させるんだよ」


 そう言って、ゴーレムを起動させた。

 重低音を響かせながら動き出すゴーレム。

 そして、そのマジックアームが伸びてきて、ミティとアイリスの身体を掴んだ。


「なっ……!? ちょ、ちょっと待ちなさい!」


「いったい何をする気なの!?」


 慌てる2人に対し、淡々と説明するジェイネフェリア。


「男爵さんは本当に変態なんだよ。くすぐり機能を付けてほしいなんて、わざわざ僕に頼みに来たんだよ」


 どうやら、ゴーレムのマジックアームには特殊なギミックが搭載されているらしい。

 それを作動させると――

 ゴニョゴニョ……。

 怪しげな動きをし始めるマジックアーム。


「ひゃあっ!?」


「んっ……! くすぐったい……!」


 くすぐったさに悶えるミティとアイリス。

 そんな彼女らに対して、タカシは言う。


「さあ、反撃開始といこうじゃないか!!」


 彼の放った鋭いサーブが、勢いよく飛んでいく。

 それをどうにか打ち返そうとするミティであったが――

 モミッ!

 モミモミッ!!

 激しく動くマジックアームによって、今度は胸やお尻などを揉まれてしまう。


「やぁっ! いやぁあっ!!」


 悲鳴を上げて身悶えるミティ。

 そんな彼女の様子を見て、タカシはニヤリと笑った。


「ふははっ!  いいぞ! もっとやれ!!」


 彼が命じた瞬間、ゴーレムはさらに激しい動きを見せる。

 ゴショゴショゴショッ……!!

 無数の手による強烈な刺激がミティを襲う。

 彼女はたまらず、倒れ込んでしまった。


「まずは1人……。次はアイリスだ!」


「ちょっ!? なんだか、趣旨変わってないかな!?」


 抗議の声を上げるアイリスを無視し、再びサーブを放つタカシ。

 彼女はどうにか構えるものの、そこへ容赦のないくすぐり攻撃が襲いかかる。


「あはははははっ!!」


 アイリスは顔を真っ赤にして、ケラケラと笑う。

 それでも、彼女はなんとかボールを返した。

 だが、かなり苦しそうである。


「はぁ……。はぁ……。もうムリ……。ギブアップ……」


 ついに限界を迎えてしまったようだ。

 彼女はその場にへたり込んでしまう。


「よし、俺の勝ちだな! ――しかし、せっかくの新作魔道具だ。もっと性能テストをしたいところだが……」


 そんなことを呟きつつ、タカシは周囲に視線を向ける。


「ふっ……。まだこの場には、3人もターゲットがいるではないか……!」


「へ? ま、まさかフレンダちゃんにもそれを!?」


「タカシ=ハイブリッジ……。調子に乗るのも大概にしろです。僕様ちゃんにそんな不敬を――って、うひぃ!?」


「な、なんで僕まで!? くすぐったいのは苦手なんだよぉ~!!」


 こうして、やや趣旨が変わりつつも卓球を用いた交流は進んでいったのだった。





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