【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう

~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1745話 俺の勝ちだ…!

公開日時: 2025年5月12日(月) 12:10
文字数:1,043

「ぜぇ、ぜぇ……。お、俺の勝ちだ……!!」


「くっ……! ううぅ……!!」


 最初の激突から、数十分は経過しただろうか。

 俺と豪傑は、疲労困憊となっている。

 豪傑は満身創痍で、まともに立っているのもやっとという状態だ。

 一方の俺も、体力の消耗が激しい。

 膝の震えを隠すこともできず、額からは冷や汗が流れている。

 だが、治療魔法のおかげで、致命的な傷はない。


「はぁ……はぁ……。認めろ、俺が勝者だと」


「ま、まだです! 私は負けていません!」


「いいや、お前の負けだ。……一対一の決闘は、お互いへの敬意が前提にある。ゴネて『何でもあり』になれば、結局はこちらが得をする。今のうちに敗北を認めた方が、お前のためだぞ」


 俺は、ゆっくりと一歩踏み出しながら言った。

 少し離れたところからは、流華、無月、幽蓮、その他の忍者たちが観戦している。

 事前の取り決めを度外視して『何でもあり』で戦うなら、こちらの勝利は揺るがない。


「くっ……!!」


 豪傑が歯嚙みする。

 その様子には悔しさがにじんでいた。

 理屈では理解しているのだろう。

 だが、彼の中になる絶対的な『何か』が、他者への恭順を良しとしない。

 そんなところか。


「……なにも、桜花藩に全面服従しろというわけではないのだ。好待遇で迎えよう。お前が何を目指して武者修行をしているのか知らないが、望むのならば前線で戦ってくれてもいい」


 俺は声を落とし、真正面から彼を見つめた。

 使い捨てるには惜しい――心からそう思った。

 彼ほどの実力者、みすみす見逃す手はない。

 こちらが譲れる部分では譲る。

 妥協できるところは妥協する。

 それが勝者の義務であり、器量というものだ。


「俺は女好きだ」


 突然の告白に、豪傑が固まる。


「……は? 突然、何を……?」


「可愛い女がいたら、ついつい声をかけてしまう。この世のすべての美少女を俺の女にしたい」


 その言葉は軽薄に聞こえるかもしれない。

 だが、俺は真剣だった。


「っ!! ま、まさか私まで――」


「お前にも美少女を斡旋してやろう」


 豪傑が警戒心をあらわにした。

 どうしてそんな反応をするのか分からない。

 俺はスルーして、淡々と言葉を続けた。


「……はい?」


 豪傑が困惑したような声を出す。

 戸惑いと疑念が交差したような、不思議な声色だ。


「言っておくが、これは特別サービスだぞ? 俺は人の女に手を出すような男じゃないが、フリーの美少女を前に『お先にどうぞ』とみすみす譲る男でもない。本来は、な」


「はぁ……」


 呆れ混じりのため息が、彼の口からこぼれ落ちた。

 いいぞ。

 俺のペースだ。

 このまま交渉を続けていこう。

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