003
……ここは!?
気が付くと正面には、真っ暗な天井が浮かんでいた。いや、天井じゃない。天井がない。
「気付いた?」
聞き覚えのある声が近くから聞こえてきた。
「えっと、その……」
「あぁ、混乱するのは分かるよ。私もそうだったもん。慣れちゃったけどねぇ……」
私もって、、、君は……
「あ、そうそう。私はここにそんなに長くいれない。だから、転生前に、ひとつだけ願いを叶えてあげる。なにがいい?」
……長くはいれないだって? ここからどこへ行くっていうんだ!?
「ちょ、かんん!? んー! んん!」
女の人は、何かを言いかけた裕夜の口を塞ぐ。
「うるさいぞ、裕夜。君にはやってもらわないといけないことがあるんだ。また、会えたら会おう!」
君の願いは……?
そう言って、女の人は消えていった。どこに行ったのかは分からない。でも消えてしまったのは確かだ。すぅっと、跡形もなく。
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