私は何の変哲もない茶筒を眺めながら、取引先の方と懇談をしておりました。どのようにしても、自分自身を等身大に写し出す文体を見付ける事ができないでおりました。自分の人間性、気分、思考、精神、肉体までも明白に「そこ」に投影してみせるような文体を、この漆黒の大海原から拾い上げる事ができないでおりました。
私は真に自らを納得させるような表現を求めて、この空間を彷徨い、漂流する探検家のように今日も茶筒に一杯に淹れられた液体に飛び込むのであります。
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